鬼さんこちら、手の鳴る方へ
きめ細やかな綺麗な白い手が、柔らかく空気を叩く。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
誘われるは、ぼんやりと淡く光る、ひとつの清らかな魂。
そしてもう一度、彼女は手を叩きながら唄うのだ。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
優しい、優しい声。
そして手中に納まった魂を柔らかく受け止めた彼女は、そっと微笑むのだ。
季節を超え、紫苑の花が咲き誇る時。
鬼を統べる鬼王ありけり。
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