短編集1

□「宮本武蔵」と呼ばれた男
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人の死因は色々ある
老衰、自殺、病死
今この世界で最も多く恐ろしい死因は



焼死だ





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東京、鳥越地区
炎が上がり、黒煙が舞う現場

一人、修道服の男が逃げ、飛び交う一般市民の中にいた
ポケットから無線を出すと何処かにかける、その顔は顰めっ面だ

『もしもし、大隊長か?
焔ビトを確認した、速く来てくれ』
「藤原!?もう現場にいたのか!?」
『いや、たまたま鉢合わせたんだが
鎮魂に必要な道具がない
っ、焔ビトがこちらに接近!市民の避難優先に引き付けておく!』

無線中に急に走ってきた、割と好戦的なのは困るんだよなぁ

「わかった!急いで現場に向かう!」

「辞めてくれ富子!」
焔ビトに対し呼びかけをする一般市民がいた、恐らく旦那さんだろう
焔ビトは躊躇しながら炎を振りまく
持ち前の修道服の上着で炎を防ぐもやはりすぐ燃えてしまう
『危ないですから離れてください』
「貴方は…!?」
『隊服は来ていませんが特殊消防隊です、仲間がこちらに向かってます
奥様はまだ貴方を確認できています、なのでどうか離れてください』

「っ…!お願いします…!」

旦那さんに自分の修道服のシャツを被ってもらいそのまま避難してもらった
焔ビトは攻撃を持っていた2本の竹刀で受けると竹刀は簡単に燃えてしまった
それと同時にマッチボックスが来た

「藤原!!待たせた!」
『怪我人はなしだ!マキちゃん、避難民に流れ火がいかないように頼む!』
「はい!」
「受け取れ!」

マッチボックスに置いてあったであろう隊服と二本の刀を桜備大隊長が投げる
『乱暴だが、感謝する』

「大隊長あの人は…!?」
「そういえば新人達には紹介がまだだったな、ウチで唯一、隊長になれるクラスなのに一等消防官に席を置き」

『15時45分、一般市民の焔ビト鎮魂に取り掛かる、シスター、祈りを』
「はい…」

居合式に刀を構え相手の出方を見る
後ろからはシスターの花のような声の祈りが聞こえた

「俺と同じ無能力者にして特殊消防隊で焔ビトの鎮魂を行える人間」

炎を斬る、斬る、斬る
前をかける度、炎に頬が焦げる
こんな熱いものをよく耐えたものだ

『遅くなってすいません
よくがんばりましたね

灰ハ灰トシテ、其ノ魂ヨ…
炎炎ノ炎ニ帰セ』

手元の山姥切国広が焔ビトのコアを貫く、不意に焔ビトが「ありがとう」と言った気がした

「玄信 藤原
第8特殊消防隊の二刀流剣士殿だ」

チンと刀を仕舞う音をたて手を重ねて祈りの言葉を呟く

『…ラートム』
「…ラートム」

二人を見ながらシンラが呟く
「シスターとすげぇ息合ってる…」
「ああ、シスターアイリスとは旧知の仲らしくてな!そういう関係じゃないぞ!」
「あっそうなんですね!(ホッ)」
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