長編その1 @

□年末年始
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夜中に目が覚めた香は布団から出て汗を拭いてパジャマを着替えた。

「ふぅ…だいぶ汗かいたし…ピークは過ぎたかな…」

熱を測ると39.5度。

「あとは下がるだけ、と信じたい…」

クラクラする頭に新しい冷えピタをつけて、OS-1を飲んでまた布団へ戻った。
スマホが光っているのを見て、確認すると那月からLINEが来ていた。
何かあったらすぐ連絡してほしいということと、早くよくなりますようにというメッセージが送られてきていた。
嬉しくて、香は笑ってスマホをぎゅっと抱きしめた。
早く治さなくちゃ、と香はまた目を閉じ眠りについた。


「那月、那月!そろそろ起きろよ」

翔に起こされた那月は目を擦って眼鏡をかけた。

「…おはようございます、翔ちゃん」
「眠れたか?」
「…ん〜たぶん」
「大丈夫かよ〜」

那月はスマホを確認し、香へのメッセージが既読になってることを確認して少しホッとした。
おはようのメッセージと、仕事の合間でまた連絡することを送ってから、那月も着替えて今年最後の仕事へと向かった。

香が目を覚ますともうすっかり日が昇りきっていた。
時計を見るともうすぐお昼。
よく寝たおかげか身体はだいぶ楽になっていた。

「37.8度…だいぶ、いいかな」

ホッとして、香は起き上がってお風呂の用意をしてから那月が買ってきてくれたゼリーをひとつ食べた。

「おいしい」

久しぶりに食べるゼリーはスッキリとお腹に優しくて、ぺろっとひとつ食べてしまった。
心配してるだろうと、香は那月にだいぶ良くなったことと、ゼリーが美味しかったことを連絡した。
タイミングが良かったのかすぐに既読がついて電話がかかってきた。

「もしもし」
『香ちゃん、大丈夫?』
「はい、熱もだいぶ下がりました。これからお風呂に入ってまた少し休みます」
『お風呂に入って大丈夫ですか?』
「はい。よーくあったまって冷えないようにすれば大丈夫です」
『気をつけてくださいね。ちゃんとお水しっかり飲んで』
「はい、気をつけます」
『あっ、じゃあ!また、合間に連絡出来たらしますから』
「はい。電話してくれてありがとうございました、頑張ってください」
『はい!』

那月はバタバタと忙しなく電話を切った。
忙しい中でもこうして電話をくれることが嬉しかった。
香はお風呂に入ってまたパジャマに着替えると、お布団をソファに運んでソファにごろんと横になった。


「那月、香さんどうだった?」
「お熱は下がったみたいで、声も昨日より元気になっていました」
「良かったな!」
「はい!ホッとしました」

那月はやっと笑顔を見せて胸を撫で下ろし、そんな那月を見て翔もホッとしていた。
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