長編その1 @

□年末年始
7ページ/11ページ


「音也、帽子忘れてます!」
「ああ!ごめぇん!」

出番を終えた7人はテレビ局を後にしてライブ会場へと急いだ。

「全員乗ったか!?」
「愛島がいない!」
「セシルくーん!!早く早くー!」
「んにゃー!」
「OK!全員乗ってる!」

レンは車のドアを閉めて、はあ〜と一息ついた。

「15分くらい?」
「向こうについたらすぐリハーサルですよ」
「今のうちに少し休もう」
「お腹空いちゃったな」
「おにぎりあるってよ!」
「わあい、僕これがいいです」
「ワタシはおかかがいいです」

7人は車の中で急いで簡単な食事を済ませた。
会場につくと、衣装を着替えてすぐにリハーサルが始まり、同じように急いで会場入りしたQUARTET NIGHTがリハーサルに合流した。

「ふぁ〜!なんかあっという間だね」
「開場まであと1時間ですね」
「少し休むとしよう。茶でも淹れるか」
「オレはコーヒーがいいな」
「勝手にいれてろ」
「冷たいな、聖川」
「こら、やめろって〜」
「お前ら何騒いでんだ」
「ランちゃん」
「黒崎さん!!お疲れ様でした」
「お疲れちゃ〜ん!!もうすぐだねぇ〜!!」
「レイジうるさいよ」
「四ノ宮、その菓子はどこにあった」
「ケータリングのとこにありました。どうぞ〜」
「うむ」
「カミュ自分で取りに行けばいいです」
「うるさい、バカ猫」
「んにゃ!」

楽屋に全員集合したところで、那月はこっそり楽屋を抜け出して香に電話をかけにいった。

「もしもし、香ちゃん」
『那月くん!大丈夫なんですか?』
「はい。今は休憩中です。あと1時間くらいで本番です」
『頑張ってください。紅白、素敵でした!』
「あっ…、ありがとうございます」

那月は一瞬胡桃のことを思い出して、言い淀んでしまったが香は全く気にしていないというように那月の投げキッスがすごくかっこよくて今録画したのをまた観てると話してくれた。

「それくらい、いつでもしてあげるのに」
『ふふ、じゃあ今度お願いします』
「体調はどうですか?声は元気そうですが」
『はい!まだ微熱はありますけど、元気です。カウントダウンライブはペンライト振って観てますね!』
「ふふ、僕の色ですか?」
『当然です!』

香が笑っていると、那月が電話の向こうで驚いた声を上げた。

『どうしたんですか?』
「あっ、えと、いえ、これは」

なんかまずかったかな、と香は声を潜めた。

「いえ、ちょっと…な、なんでもないです、あっ!」
「もしもし?」
『えっ…』
「…女の子なんだけど。ナツキ、どういうこと?」
「あ、藍ちゃん、あの」
「もしもし?キミはナツキとどういう関係なの?」
「藍ちゃん、あの僕からちゃんと話しますから」
「そ?じゃあいいけど」
「香ちゃん、ごめんなさい、あのまた電話します」
『だ、大丈夫ですか…?』
「はい、大丈夫ですよ。じゃあ。また」

那月は電話を切ると、腕を組みじっと見ている藍を恐る恐る振り返った。

「どういうことか説明してよね」
「はい…」

那月はしゅんと肩を落とし、それを影から見ていた翔は冷や汗をかいていた。


ど、どうしよう。

電話を切ったあと、香は血の気がひいてそのまま固まってしまった。
藍に見つかってしまい、バレてしまった。

どうなるんだろう。
もしかしたら、別れろと言われてしまうかもしれない。
どうしよう…。
カウントダウンライブ前に、大変なことになってしまった。

「どうしよう…どうしよう…」

半分パニックになっているとだんだん熱まで上がってきたような気がして、香はソファにごろんと転がった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ