長編その1 @

□年末年始
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クリスマスライブ2日目も大成功に終わり、休む間もなく7人は年末のカウントダウンコンサートへ向けてまた忙しくなった。

「那月くん、今日も遅くなりますか?」
「はい。ごめんね、最近ずっと1人にしてしまって…」
「いえ、お仕事ですから仕方ないです」
「元旦はお休みですから、ゆっくりしましょうね」

那月は香にキスをして髪を撫でてからバタバタと出かけていった。
那月を見送って家事をするけど、どんなにあれこれやっても午前中には終わってしまう。
クリスマスツリーも片付けて、大掃除も終わらせた。

「…なにしよっかな…」

香はぴよちゃんのクッションに話しかけてため息をついた。

「お節、にはまだ早いし。…お菓子でも作ろっかな…」

香は暇を持て余してクッキーとマカロンを作り始めた。
黙々と作ってるうちに、いつのまにか大量になってしまい香は明日差し入れとして持ってってもらおうと可愛くラッピングをした。
1人でごはんを食べてお風呂に入って、時計を見ると21時。
那月はまだ帰ってこない。
LINEにも連絡はなく、まだ終わってないのかと香は小さくため息をついた。
ST☆RISHのライブDVDを観て過ごしていると那月からこれから帰ると連絡が来て、香はすぐに返信をした。

嬉しい。
早く会いたい。

30分くらいで鍵の開く音が聞こえて香は玄関にダッシュした。
もし尻尾がついていたらブンブンに振り回していたことだろう。

「おかえりなさい」
「ただいま、香ちゃん」

那月は香をぎゅっと抱きしめてそのまま抱き上げた。

「お疲れ様でした」

香は那月の頬にキスをすると、那月は香の唇にキスを返した。

「今日から先輩達も合流しました」
「QUARTET NIGHTの先輩達?」
「はい。やっぱり全員揃うとすごく圧巻です!香ちゃんにも観に来て欲しかったです」
「ごめんなさい。チケットが取れなかったから…」
「…僕が用意しますよぉ」
「んーー…でも…」
「香ちゃんは結構頑固です」

那月は香をぎゅっと抱きしめながらソファに座った。

「香ちゃんと、一緒に年越ししたいなぁ」
「…那月くん…」

香が困った顔になったのに気がついて、那月は同じように困った顔をした。

「ごめんね、困らせちゃったね」
「ううん、私も観に行きたい気持ちはあるんですけど…でも、やっぱり関係者席だと…また日向さんとか月宮さんに会うかもしれないし、隠し切れる自信がないというか」
「…うん、ごめんね、そうだよね」

那月は小さくため息をつきながら、香をぎゅっと抱きしめた。

「それにカウントダウンはテレビで放送してくれますし!」
「ふふ、そうですね」
「それに、離れてても一緒ですし。ね?」

香はそう言って笑って那月の手をぎゅっと握った。
左手に光る指輪が、那月を安心させた。

「そうですね。ずっと一緒です」

髪を撫でて、ゆっくり、優しくキスをした。
忙しい日々の中のほんの少しの時間でも、こうして愛し合える。
そんな毎日が嬉しくて、幸せだった。
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