長編その1 A

□サプライズ2日目
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朝、まだ少し暗い時間に起きると香は重たい腰をさすって起き上がった。

「…んぅ…」
「…おはよ…どうしたの?大丈夫?」
「…身体が…痛い…」
「大丈夫?筋肉痛かな」
「……那月くんは平気?」
「うん。大丈夫。どうする?湿布、買ってくる?」
「…ううん…大丈夫…」

那月は起き上がって、香の背中をそっとマッサージしてあげた。

「ん…気持ちいい…」
「落ち着いたら、少し運動しないといけませんね」
「…体操、最近サボってたから…」
「サボってたんじゃなくて、おやすみしてただけですよ」

那月はそう言って香をころんと寝かせると脚もマッサージしてあげた。

「…気持ちいい…」
「痛かったらいってね」

那月が優しくマッサージをしてくれたおかげで、少し楽になった香は張り切ってお出かけの準備に取り掛かった。

「今日はお団子なんですね。かわいい」
「シーは風が強いかなって。…マリーちゃん被れるかな」

香は鏡を見ながらマリーちゃんの帽子を被ってみて那月に「どう?」と聞いた。

「かわいいです〜」
「ほんと?」
「はい!僕のプリンセスが一番かわいいです」

そう言ってキスをしてもらうと、香は自分が世界一幸せなプリンセスのような気がした。
荷物をまとめて出かける準備が整うと、少し長めのキスをしてからみんなとの待ち合わせのロビーへ急いだ。

「おはよ!よく眠れた?」
「おはようございます。たくさん寝ました!」
「顔色も良いですね。良かった」
「今日は一十木がコースを決めてくれたからな。目一杯遊ぼう」
「朝ご飯どうしますか?」
「イッキがまずはパン屋さんに行こうって言ってたよ」
「腹減ったよな」
「イエス。ぺこぺこです」

セシルは香に「実は5時くらいにお腹が空いて目が覚めました」と話して「それは大変です!」と香を驚かせた。
急いで朝ご飯にしよう、とみんなでパン屋さんへ行って可愛いミッキーの形のパンを食べた。
可愛くて食べるのがもったいないです、と言う那月の隣で躊躇なくばくっと食べてしまった香は恥ずかしそうに笑いながら那月に謝った。

「ふふ…っ…ご…ごめんなさい…何のアレもなく耳食べちゃった…」
「あははは!」
「食いしん坊さんですねぇ」

那月はクスクス笑って「じゃあ僕も」とぱくっと大きな一口を食べた。
朝ご飯を食べながら音也が今日一日の回るコースをみんなに話した。

「マーメイドラグーンは、セシルが行きたくないって言うから、ここは自由行動ね」
「ワタシ自由にしてるので、みんなは気にせず行ってきてくださいね」
「あれは?亀のやつ」
「ノン…あれも苦手です…前にカミュとロケで行きましたがとても大変でした…」
「セッシーはシーと相性が悪いね」
「アラビアンコーストは大好きです!アグナの雰囲気に少し似ています!」
「じゃあ、そんな感じで!それと、これはオマケミッションなんだけど、隠れミッキーをたくさん見つけた人はみんなに一個お願いを叶えてもらう!ってのはどう!?」

音也の提案にみんなも「いいね」と乗った。
帰るまでに見つけた隠れミッキーの写真の枚数で決めることになり、香もわくわくしていた。

「じゃあ、まずはシノミーをかわいくしてあげようか」

朝ご飯を食べ終わると、みんなでショップへ行き那月の帽子を選んだ。
7人が思い思いの物を持ってきては那月につけてみたものの「四ノ宮は全部かわいいな」と真斗は笑った。

「あ!これ!絶対これです!」

香は目をキラキラさせて、那月にダッフィーの耳のついたもこもこの帽子を被せると「かわいい!!」と喜ぶから、那月もこれにします、と決めた。

「すごい!一番似合ってる!」
「可愛らしいですね」
「イエス!とってもナツキにぴったり!」

みんなに褒められて那月は嬉しそうに笑った。
帽子を被ると更に大きく見えて、翔は那月を悔しそうに見上げた。

「更にでけえな」
「ふふ。ダッフィーくんの分ですよぉ」
「…まあいいや!じゃあ行くか!!」

みんなの準備が整ったところで中央の海をバックにみんなで写真を撮った。

「今更だけど、シノミーはレディと2人で回らなくていいのかい?」
「え?いいですよねぇ?」
「はい!今日はみなさんと来たからみなさんと回りたいです」
「みんなで来れるなんて滅多にないもんね!」
「イエス!と、いうわけで、今日はプリンスがたくさん選び放題ですよ。プリンセス?」
「えっ!?」

セシルが香の手を取って、パチンとウインクをすると香は顔を真っ赤にして狼狽えた。

「イエスじゃないですよ!ノンです!」
「あははは!じゃあ今日は順番で香さんの隣に座らせてもらおっか!」
「それはいいね」
「音也にしては素晴らしい提案ですね」
「仕方ない。最初は四ノ宮に譲ってやろう」
「じゃあ次は俺な!」
「その次はワタシがいいです!」

7人がわあわあ盛り上がっている中、香は早速隠れミッキーを見つけてカシャッと写真撮った。
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