Guardian-守護者-

□第五話
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布団を蹴り上げるようにして飛び起きた。
乱れた息が、もどかしい。


背中を嫌な汗が伝う。
気を落ち着けようとベット脇に置いてある小棚の上の水差しから一口水を飲む。



時刻は深夜。窓から月灯かりが漏れていた。



「満月、か…」


どんな夢を見たのか、思い出せない。とても嫌な夢だったような気がする。窓の前に座り、そっと月灯かりを浴びた。空には眩い光を放つ満月が、その姿を堂々と一点の曇りもない空に現していた。



「………ん?あれは‥」


ふと目線を下に向けると、家の前の道路を歩いて行く人影が見えた。


「後浦 ひばり」


クラスメイトの女だ。…確か。
おかしい、今は深夜だ。何処かに出かけるにしても遅すぎる。アイツはそんな夜遊びするようなヤツじゃないはずだ。…たぶん。



その時の俺は覚えていない夢のせいか、何処かおかしかったのだろう。
いつもなら気にしない事なのに、妙に気になって…急いで服を着替え部屋をそっと抜け出した。








薄暗い路地。チカチカと点滅する街灯。どこかおぼつかない足取りで進んで行く。(っていうか、後浦は寝間着のままだった。ますます怪しい)

角を曲がった先には、寂れた廃ビル…後浦は、ビルの戸をそっと開けると、その中に消えて行った。


そっと近寄り、曇った扉に手を当てる。少し力を入れて押すと、錆びた蝶番がギィィと軋んだ音を立てた。意外と簡単に動いた扉に驚きながら、手を突き出すようにして思いっきり戸を押し出した。


開いた扉の先に広がったのは…






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