Guardian-守護者-

□第三話
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舞を踊るように華麗に

しかし着実に




―――ギャアァァ


俺達を囲んでいた妖魔達が奇声をあげながら倒れて行く。


「破ッ!!!」


実さんも飛び掛かって来る魔狼をばったばったと倒していっている。
この調子ならすぐ終わるかな…?そう思っていた矢先だった。




「イヤァァァァッ」


不意に校舎の方から悲鳴があがった。そちらを見るといつの間に群れから離れたのか、一匹の魔狼が窓を割って中に押し入ろうとしていた。
窓にあてられた手がもう少しでガラスを割ろうとしている所だった。



「やばッ…」


そちらに注意を向けた瞬間、俺が相手をしていたヤツが俺の左肩に食らい付いてきた。


「?!ッ…“み、水よ…我が手に集い氷を纏いて蛇をなせッ”『氷蛇ぁ!!』‥ック……」



何とか体を捻り右手を魔狼の体に押しつけた。
1mm動くたびに、肩が燃える様に熱く、痛んだ。

手が触れた所から氷の蛇が魔狼の体を伝い、ヤツの首に噛み付いた。
瞬間、魔狼がピタリと動きを止め、凍った。



「あッ……ぐ」


凍った魔狼の牙から無理やり肩を外すと、おびただしい量の血液が肩から流れ落ち、地面に紅い水溜まりを作った。


「アキ、大丈夫かッ?!」

「へ‥‥きだ」



校舎の方に行った魔狼を倒して戻って来た実が血相を変えて駆け寄って来た。



「ッ、み実さん…あちっ、もうちょい優しく……」

「無理言うな。キツく縛らないと止血にならんだろうが!!」


実さんが着ていたシャツを破って、包帯代わりにアキの肩に巻き付けた。
白いシャツが、紅色に染まっていく。


「りょ?さっきので最後…?」

「あぁ、らしいな。…立てるか?」

「うぃ」


怪我していない方の手(って言っても返り血やら俺の血やらでぐちゃぐちゃι)で実さんの手を掴み、反動を付けて立ち上がった。


『アキーッッ!!!』




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