Guardian-守護者-
□第六話
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瓦礫の散乱するエントランスを通り過ぎ、さらに奥へと足を進める。奥に入れば入るほど人の気配は妖気と絡み合い、感覚を混乱させる。
「くそっ、何処にいるんだよ」
「何となく居るのはわかるんだが…」
――ダンッ
アキが怒りに任せて近くの壁を殴った。
「うわっ」
その時、叩き付けた手が壁を擦り抜け、アキは体ごと壁の向こうへと吸い込まれていった。
「アキ!く…もう閉じてやがる」
慌てて実が駆け寄ったが、壁は既に普通の壁に戻っていた。
「…ぅん」
頬に感じる柔らかい草の感触。気が付けば、何故か草むらに横たわっていて、霞む頭を叱咤して何とか体を起こすとそこは見た事もない広大な野原だった。
「…んぅ〜」
薄暗さに目が慣れず、しきりに瞼を擦って辺りを見回すと、黒緑色の草むらの間にぼ〜っと座り込む人影を見つけた。
「何でこんな所に人が…大丈夫ですか?!……あの?」
声を掛けては見るが、全く返事がなく、これと言った反応もない。こちらを見向きもしない。
肩に手をかけて軽く揺さぶって見たものの、されるがままに体を揺らすだけだった。
「どうなってんだ…」
「そんな事しても無駄よ?」
「ッ!?」
後ろから声を掛けられて、振り向くと緑色の髪の毛のキレイなお姉さんがニッコリと微笑みながら大木の前に佇んでいた。
暗緑色のドレスが草むらと同化して、怪しさ倍増だ。
「…どういう意味ですか」
一応、丁寧な態度で聞いてみる。
俺の言葉を聞いて、お姉さんは益々笑みを深くするだけだった。
少しの沈黙の後、お姉さんが口を開いた。
「あら…そのままの、意味だけれど?」
「その、まま…?」
クスクスと笑うと、お姉さんは少し体を横へずらした。そうすると、大木の幹が見えて…とても大きな樹で、所々に苔が生えているのか、緑がかっていて―――。
「………ッ!」