リクエストand企画小説

□機嫌が・・・
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「いいかげん機嫌を直しておくれよ?」

そうネルが横を向いているフェイト言う。
しかし、フェイトはぷいっとネルから顔を離す。

「別に機嫌なんて悪くない・・・」

ぶっきらぼうに言うフェイトは言葉とは裏腹にかなり機嫌が悪そうだ。

「あれはしょうがなかったんだよ。私だって嫌だったんだ。」

「別に気にしてない・・・・」

「その言い方をされても説得力がないね・・・」

フェイトがこんなに機嫌の悪い理由は昨晩のパーティーでの出来事。
パーティーと言っても表では真っ当な貴族の仮面を被った麻薬商人の取引パーティーだ。
ネルとフェイト(その他ファリン、タイネーブなど)はその現場を押さえるためにパーティー潜入した。
仕事は意外と簡単に済んだのだが、問題は裏でファリンたちが証拠を掴んでいる間に起きた。
フェイトが飲物を取りにネルの傍から離れた隙に今回のターゲットから麻薬を買い町に流しているという貴族の一人がネルに「踊りませんか?」と声を掛けたのだ。
ネルに声を掛けたこの貴族は貴族社会の中でもかなり権力を持っており、断ってごねたらちょっと厄介な相手・・・という事でネルは少しの間その貴族と踊ったわけだがそれでフェイトの機嫌を損ねたらしい。
お陰でターゲットを捕まえ、逃げようとしたその貴族をフェイトはやり過ぎと思えるほどの力で顔面を殴り飛ばした(実際、その貴族は前歯が2、3本折れたとか)。
それでも機嫌の悪いフェイトは昨晩家に帰ってきてからも今のような感じで、いつもならダブルベッドの真ん中でネルを抱き枕変わりに寝ているのだが、昨夜は隅っこでネルに背中を向けて寝ていた。

「『別に』ってそうならなんでそんな不機嫌な顔しているんだい?」

溜息混じりに言うネル。

「昨日の仕事で疲れてるんだよ・・・」

フェイトが機嫌を損ねた時は決まって無口になる。
何を言っても「別に・・・」と気のない返事の繰り返し。
そしてソファに座りながら読書かただ空を見つめる。
フェイトが機嫌を損ねたときに1番怖いはフェイトの目・・・
その目はフェイトの優しい時の目とは全く違う・・・
優しくされていた事など忘れるくらいの冷たい目・・・
何にも関心のない無関心な目・・・・
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