リクエストand企画小説

□嫉妬と不安
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「クレア様、如何にかして下さい。フェイト様がかなり機嫌悪いんですよ。2,3日ならともかく1週間もあの雰囲気が続いてはこちらの身が持ちません!!」

フェイトの助手のルークが書類を持ってきたついで?に泣き言を漏らしている。

「あの温厚なフェイトさんがそんなに機嫌が悪いの?」

「それはもう1日中私とも他の研究員とも必要最低限の事しか言葉にしないし、前までは部下にも優しくてちょくちょく声もかけてくれたし仕事だって本当にやりやすかったんですよ!!それが最近は表情も怖いし声をかけるのにもかなり気をつけなきゃいけないオーラ発してるっていうか・・・・とりあえず本当に困ってるんで如何にかして下さい!!」

一回も呼吸をせず、一言で噛まずにこんな長い事を言える自信はクレアには無かった。

そこにドタバタと隠密にもかかわらずかなりの足音を立ててクレアの部屋に飛び込んできたお笑いコンビ・・・もといネルの直属の部下ファリンとタイネーブであった。

「クレア様ぁ〜、如何にかして下さい〜。ネル様がかなり暗いんですよ〜、いつもなら怒られるようなミスをしてもここ1週間くらい前から溜息ばっかりついて『今度から注意しな・・・』って言って終わるんですぅ〜」
語尾をのばす特徴的な話し方をするファリンは相当急いで走ってきたのか汗まみれである。

「ネル様が暗いと隊全体が暗くなってしまうんです。居るだけで辛いくらい重苦し〜い雰囲気が漂ってるんですよ。時々物思いにふけりながら涙を流しかける時もありますし・・・」

これまた汗まみれのタイネーブ。

「ネルが物思い!?涙!?」

これはかなりビックリした、あのネルが物思いにふけったり涙を流しかけるなんて!!

「隊のみんなはフェイトさんに振られただの、フェイトさんを本当に怒らせただの噂になってますよ。」

「そういえばフェイトさんもネルも1週間前からおかしいって言ってたわね?」

ネルもフェイトさんもって事はこれは関係ありと見るべきである。

「はい。」

「はいですぅ〜」

「そうですが・・・」

三者三様の答え方である。

「フェイトさんは恐ろしいくらい機嫌が悪くて、ネルは恐ろしいくらい暗いと・・・これは探りを入れるべきか・・・し・・・ら?」

そこにこれまたドタバタと転がり込んできた人間・・・抗魔師団『炎』の団長ルージュ・ルイーズ。

「クレア、聞いてよ〜。ネルがとっても暗いって噂聞いたから元気づけに行ったら本当に暗くてさぁ〜、『フェイト君を取っちゃうよ?』言ったらネルが泣き出しちゃったんだよ〜、それも顔をボロボロにしながら!!ねぇ、どうしたらいいかな〜」

親友のルージュが困ったように言った。

それにしてもあのネルが顔をボロボロにしながら人前で泣くなんて・・・

これは大事件である。

言い換えれば(言い換えなくても)親友の危機。

これは放っておけない、フェイトもネルも同じ家に暮らしているはずだから今夜にでも訪ねようと心に決めたクレアだった。
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