リクエストand企画小説
□ペアグッズ
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「ネル、愛してるよ。」
冬のある日の夜、フェイトとネルは久しぶりに外で食事をしていた。
「なっ?なんだい藪から棒に・・・」
フェイトを警戒するネル。
なぜならいつも腹黒フェイトには苛められ最終的にはR指定の行為を行われてしまっているからだ。
まぁ、最近ネルもそれが嫌いではないようだが絶対にフェイトには知られたくない、知られたらどれだけ危ないプレイをやらされることだか・・・
な訳で、ついついフェイトが極上の笑みで何かしてくる時は警戒するようにしている。
「いや、不意に思ったから。」
ネルは少し頬を赤らめたが何か視線を感じてあたりを見渡すとフェイトの天使(ネルに言わせると天使の皮をかぶった悪魔、堕天使、魔王だそうだ)の微笑みにレストラン中の女性がフェイトに悩殺されていた。
女性のの好みはワールドワイド共通のようだ。
もちろんフェイトはネル以外「OUT OF 眼中」な訳だが・・・
「TPOを考えな!!」
「でも嬉しいでしょ、ネル?」
「なっ!?」
図星をつかれて言葉に詰まるネル。
恥ずかしくて警戒することも忘れている。
こうなると腹黒フェイトの独壇場でいつもベッドまでお持ち帰りされてしまうのだが、今日のフェイトはどこか違うようだ。
「愛してるよ、ネル。君のこと世界で1番愛してる。」
「なっ!?」
ネルの顔はもう完熟トマトのように真っ赤。
そんなネルを見ながらフェイトは優しい笑みでまた言った。
「ネルがいるんなら僕は他のものなんて何にもいらない、ネルしか欲しいものなんてないよ?そのくらい愛してる。」
クレアやルージュ達から言わせればそんな事はわかりきっている、というだろう。
自分の世界を捨ててこのエリクールに残ったのだから、ネルの為に・・・
「ネルは・・・?」
「私だって愛してるよ!!フェイトがいてくれるなら何もいらないよ!!」
体温が上がりすぎて脳が溶けてしまったのか、それともただ単に周りが見えなくなっただけか。
ネルは叫ぶに近い声でそうフェイトに言った。
もちろんここはレストラン、叫べばみんなに聞こえる。
ネルは言い終わった瞬間、それを思い出したようで完熟トマト以上に赤くなりうつむいた。
周りの人もネルの大胆発言に顔を赤くしている。
「なんでうつむくんだい?」
「・・・・・・・・・・」
「恥ずかしいの?」
「・・・・・・・・・・」
恥ずかしすぎた為か黙りこくってしまった。
「ネル、恥ずかしいことはないんだよ?僕はネルを愛してる、ネルは僕を愛してくれてる。どこが恥ずかしいの?」
「でも・・・」
恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
フェイトは『ふっ』と溜息と苦笑の中間のような息を吐く。
「ネル、愛してる、絶対に幸せにするから!!お願いします、一生、一緒にいてください!!」
フェイトは先ほどのネルのように叫ぶような声で言うとレストラン中がワッといった。
しかしネルはフェイトの言葉を理解できなかった。
正確には理解するのにかなりの時間を要した。
1分ほどだろうか、レストラン中は静まりかえり誰もが若いカップルに注目した。
ネルはそれでやっと自分がプロポーズされていることに気づく。
「えっ、あっ!?」
「ネル・・・駄目かな・・・?」
「そんな事は・・・」
「OKしてくれるのかい?」
「いやっ・・・その・・・・」
またしばしの沈黙。
「・・・ゎ・・しも・・ぁん・・・・ぃ・ょう・・・・・・い・・い」
「えっ?」
ネル自身かなり情けない返答だったと思う。
「私もあんたと一生一緒にいたい!!」
抑揚も何もない。
ただ叫んだだけ、でもこれがネルの愛情だってフェイトはわかっているから。
不器用な彼女の精一杯の返答だとわかっているから。
フェイトは本当に本物の極上の笑みで胸元から小さな小箱を取り出した。
そっとフェイトはネルの左手を取り小箱から出したエンゲージリングを薬指にはめる。
そしてネルにもう1つ同じデザインの指輪を渡した。
「ペアリング・・・つけてくれるかな?」
ネルは答えることも頷くこともせずゆっくりとフェイトの左手の薬指に渡された指輪をはめた。
そして彼らは抱きしめあった、レストランの人は皆盛大の拍手を新しい夫婦に送った。