Tennis SS
□初めての感情
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キッカケなんて…
ほんのささいな事だった…
『初めての感情』
6月中旬。
テレビで梅雨宣言をしてから、うっとおしいぐらいの雨が降り続く。
もちろん、こんな中に部活なんて出来るワケはなく…休みになった。
(あーあ…テニスしたいなぁ…)
ちょっと雨に八つ当たりしながら、越前は大人しく家に帰ろうと思った。
◇◇◇◇◇◇◇
傘を差しながら歩く、通い慣れた道。
ふと立ち止まって空を見上げながら呟いた。
「ほんと、この雨…いつまで続くんだろう…」
もちろん、その問いに答える人はいない…
「明日は、体育館が借りれるみたいだから…
とりあえず明日までの我慢…だね。」
(雨はテニスが出来ないからキライだけど、だけど雨の音はキライじゃない…)
自分でも矛盾してるのは承知している。
だけど、何故か雨の音を聞いていると落ち着くのだ。
そっと眼を伏せて雨の音を聞いていた。
その時、不意に雨の音に紛れ込んで聞こえてきたモノがあった。
「………。」
越前は、聞こえてくる方に足を向けて、急いで走り出した。