ごみ置き場

□君に捧げるこの歌を。
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悲劇は早朝。

髪を掻き毟るかのように叩き起こされる。

自分を叩き起こした張本人の、金髪で小柄な少年、エドワードは真っ赤な顔のまま、必死に何かを訴えようとしていた。

「なんだい……鋼の」

ちょっとは落ち着けと頭を撫でてやると、勢い良く鋼の腕で払われた。

「……れ…で……てな…る……か!?」

エドワードの必死の訴えも、擦れた途切れと切れの叫びとしかならない。

ここでロイもようやく異変に気が付く。

「鋼の、まさか……」

声がでないのかとジェスチャーで表すと、エドワードはぶんぶんと首を縦に振った。

原因は風邪らしかった。
ロイもあまり医学には詳しくないのだが、口を大きく開かせ、奥を見てみると、扁桃腺のあたりが大きく腫れていた。
これでは声がでなくてもおかしくはないだろう。

まぁ、ゆっくり療養すればじきに治るだろうといいたかったが………

イースターズの公演日は明日。いくらなんでも明日までに治るはずもない。

ヴォーカルのエドワードの声がでないとなるとかなりの一大事である。

しかも、顔が赤いからと熱を計ってみると、38度もある。多分、立っているだけでも相当辛いはず。

それだけでもうロイまで倒れそうな事態なのだが。

まず、エドワードが風邪を引くことになった原因。それはロイにあった。

昨日何を思ったのか二人で組み手の練習をしていた。
(確か体が鈍っているから少し付き合えと、ロイから誘ったような気がする)
その時に、勢いあまってエドワードを川へ落としてしまったのだ。かなり深い川で、季節的に水も冷たい。
ロイは大慌てでエドワードを助けるために川へ入った。

発火布をつけたまま……
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