Comply with a riquest

□patience?endurance?
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「すっげー!マジでこんな広い部屋オレ一人で使っていいの?!」

「そうだよ〜。ここのフロアはオレらが滞在中は誰もこないって言ってたから気兼なくのびのびできるぜ〜♪」

「ぅわーベッドがでけー!」

「あんま休みボケして次の任務に響かせないようにね♪」

「オレそんなドジじゃねーもん」

「この間死にかけたのはどこの誰かな〜?」

「知ーらねー」

「ま、いっけどね。じゃ、なんかあったらお兄さんとこおいで♪」

「な〜んもね〜よ〜。わー眺めも最っ高ー!」

「まだまだガキだね…」




パタン













ここはガンマ団本部。
地上にそびえる塔の40階に位置する部屋。

フロア全室がゲストルームになっていて、各国の貴賓やガンマ団総帥や上級幹部のプライベートな知人しか泊まれない、いわゆるロイヤルルームなのである。

そんなチョーVIPな部屋に滞在することになったオレたち特戦隊。
最近調子の悪かった飛空艦のメンテナンスと、隊長のたまった始末書の処理に一週間かかるという。
隊長が缶詰になってる間、オレはこの休暇をのんびり過ごそうと思う。











夜。


食堂に行ってみた。
本部で働く隊員たちの憩いの場でもある。
本当は自分の部屋で、ホテル張りのルームサービスが受けられ、フレンチから京懐石まで頼めると聞いていたが、そんな高級なもん舌に合わないだろうし一人で食べるのは何だか寂しかった。

ここにくれば賑やかで、一人で食べるにも寂しくないだろう。特戦の連中も誰かしらいるかもしれない。


カウンター脇の大きなメニューボードを見上げながら、どれにしようか悩む。
なんせ和洋折衷、サイドからデザートまで随時100種類のメニューがあるのだ。毎回決まるまで時間がかかる。艦に戻るとインスタントなど簡単な料理しか食べれないから、ここにきた時は選びに選んで食べることにしている。

10分ほど悩んだ末、デミグラハンバーグ温卵添えのパンセットにコーンポタージュ、コーラとプリンパフェを注文した。
ちなみにパンは、プレーン・セサミ・パンプキン味のカンパーニュをそれぞれ2個ずつ、計6個をパン籠に盛ってもらいカウンターで受取ると座る席を探した。


一度に300人は座れる広い食堂は壁一面がガラス張りになっていて、10階からの眺めが楽しめる。
夕飯にはまだ早いのか、食事をしている人は少ない。お茶飲みながらおしゃべりをしている隊員がちらほらいる程度で、うるさくないざわめきがちょうどよかった。

窓際に空いている席があったのでそこに向かった。
キョロキョロと周りを見回しながら、誰かいないかな〜と探したが、それこそこんな時間に食いにくるやつはいない。
それでも少しがっかりして、席についた。

南向きのガラスの外はすでに藍色の闇が訪れ、夜を告げている。
ここ一月ばかり東アジアにいることが多いため、日没の時刻をなんとなく覚えてしまった。
徐々に日が落ちるのが遅くなり、暖かくなって春が近付いている事が分かる。




(桜の季節か……オヤジ元気かな…)



こんな感傷的になるのは一人でいるせいか。

頭を振って冷めないうちに食べようと、目の前のハンバーグに食い付いた。




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