Comply with a riquest

□愛を表そう
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いつもと同じ、いつもの風景。


任務が無事終わって近くの街までの移動中。
飛空艦のリビングでは俺とリキッドとロッドが暇な時間を各々過ごしていた。
隊長は自室で競馬中継。マーカーは一人のが落ち着くと言って籠っている。


いつものようにロッドがリキッドのことをからって遊んでいた。





「ま〜たこんな傷つくっちゃって。りっちゃんもまだまだだね」

「うっせぇ!こんなん傷の内に入んねぇよ」

「ふーん。うりゃ」

「いっ!ばか、触んなよ!」

「痩せガマン〜」


まるで仲の良い兄弟のようだ。

なんだかんだ言ってロッドも面倒見がよい。
救急箱を取り出して擦り傷だらけのリキッドに手当てをしようとしている。


「ほら、こっち向いて」

「いいって。舐めときゃ治るから」

「じゃあ舐めてあげる♪」


ペロっと頬にできた傷を舐めた。


「ひゃっ。何すんだよ!」

「舐めて治すんでしょ?オレが治してあげるよ〜」


そう言うと額や手の甲にできた傷をペロペロと舐め出した。


「くすぐってぇよ!やめろってば!」

「りっちゃんてば感度いいのね。楽しい〜♪」

「………ロッド、止めなさい」




いつもだったらあまり気にしない光景だったのに。

思わず制止の声が出てしまった。





コイツのせいだ…。


フワフワのハニーブロンドが揺れて、垂れた瞳が楽しそうに細められる。

夜になると俺の首に絡まる腕は、今リキッドの首を絡めていて、俺の唇を塞ぐはずの舌はリキッドの肌を這っている。



いつから、こんなに了見が狭くなったのだろう。













「…何してんだ」

「ぅわ!隊長!」


いつの間にリビングへ来たのか、ドアを開け放したまま隊長が立っていた。
しかも額には小さく青筋が浮いていて、何かに怒っていることがわかる。


「りっちゃんの傷の手当てですよ。あっちこっち傷だからけでかわいそうだから」

「あっちこっちじゃねぇもん!こことここ以外傷ってほどじゃねぇし!」

「ここもじゃん♪」

「いだっ!てめぇロッド!」

「ぎゃっはっは!こっこまでおいで〜」

「このっ待ちやがれ!」












ぐい






「わっ!」

「ぐぇっ」








つい、手が出てしまった。



逃げるロッドが隊長の前へ、それを追い掛けていたリキッドが俺の前を差し掛かった時、それぞれを反射的に捕まえていた。


リキッドを腕に捕えたまま、同じくロッドの首を捕えた隊長と思わず顔を見合わせる。


何とも言えない苦い顔をしているのは気のせいじゃないだろう。

多分、俺も同じ顔をしていると思う。







「ロッドくん。昨日の任務の報告がまだだったよなぁ。ガキと遊んでねぇで俺の部屋にこいや」

「えっ!?帰還してすぐ紙面上で報告したじゃないですか!」

「そうだっけか。見当たらねぇからもう一回提出しろ」

「そんな〜」


ロッドの首に腕をかけて引きずるようにリビングを出る隊長が、一瞬こちらを振り返った。



突き刺さった視線に、隊長が言わんとすることが伝わった。



要は、お互い捕まえる相手を間違えたのだ。



報告書は今朝マーカーが整理していた。そう簡単になくなるはずがない。

引くに引けず適当な嘘をついたようだった。











「行っちゃった」

「………」

「Gさん?」


腕の中にいたリキッドが、上向きに振り返った。


「……ちゃんと傷の手当てしないと残る。ばい菌が入ると小さな傷も治らないから」


平常心を装い、手当てをしようとリキッドを解放してソファに座らせた。




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