Comply with a riquest
□patience?endurance?
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考えるよりまず行動。
携帯の着歴にある隊長の番号を押した。
プライベートな時に、滅多に自分から電話をすることはない。
大概向こうから連絡がきたり、休暇もそばにいることが多いからだ。
慣れぬ呼び出し音に自然と胸が跳ねる。
1回…2回…3回………
『ピッーただいま電話に出ることができません。ご用の方は…』
10回呼び出した後、留守電に切り替わってしまった。
携帯に出ないなんて珍しいな。
95%が仕事の用事で使う携帯を、隊長が手から離すことはない。
どんな時でも、ベッドの中でも枕の下などに置き、必ず手に届くところに置いているはずなのに出ないなんて。
こうなりゃ部屋に電話してやる。
昼間ロッドに隊長の部屋の内線番号を聞いていた。
何に気を回したのか知らないけど、時々妙にありがたいことをしてくれる。
受話器をあげて、内線番号を押す。
部屋に電話する方が緊張するな…。
でも出なかったらどうしよ。
もしかしたらどっか出かけてるかもしれないし。
とか考える中、呼び出し音が1回鳴っただけですぐに電話が繋がった。
『はい』
出た。
はい、だって。
あの人も普通に電話出るんだ。
「あ、あのオレ」
『…リキッドか』
「はい!あの…」
隊長がオレと気付いた時、はぁ、と小さく溜め息を吐いたのが耳をかすめた。
「隊長…忙しいんすか?」
『まぁな。それよりなんだ、こんな時間に』
「いや、その…大した用事じゃないんすけど…」
自分が何で電話したのか、いざとなると言えなくなってしまうもので。
「隊長の声…聞きたくなっただけっす…」
『……今朝まで一緒にいただろ』
「…そう…だけど」
表情が分からない電話だけに、隊長の声が呆れているように聞こえて。
…少し、胸が傷んだ。
「あの隊長…」
その時電話の向こうで部屋に誰かが入ってくる音が聞こえた。
『悪い、まだ仕事中だ。切るぜ』
こちらが声を発するよりも早く、電話が切れた。
「…なんだよ。バカみてぇ」
ツーツーという虚しい響きを聞きながら、受話器を見つめる。
何か…バカみてぇ。
オレだけが変な期待して、バカみてぇにドキドキして、ただ毎日そばにいたからエッチしてただけかもしれないのに、バカみてぇに勘違いして……。
思わず布団に受話器を投げつけていた。
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