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□幼児化計画
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夜、うっすらと声を聞いた気がする…
『作戦成功だね』
第二のパプワ島・夜明け
騒動は始まった。
まずはリキッドの叫び声から。
「何じゃこりゃぁああああああッツ!!!」
俺の身体は一体!
起きたら直ぐに変化に気付いた。
「小さくなっとるがな!!」
上半身を起こした時の視界がまず違う。
かなり低い。
声だって、いつもの自分もの声も割と高めだと思うが…
完全に異質だろ。
「何が起きた、俺ッ!」
「煩いよ!家政夫!!」
がばぁッと布団をまくり、ロタローが声を荒げた。
ビクリと身体が跳ねる。
眠気眼を擦り、ロタローはじーっと凝視してきた。
俺は反応に困り、布団を握り抱きしめた。
「わぁー、リキッドちっちゃあい☆」
起きて開口一番に大きな声を出したためか、覚醒するのは早かったようだ。
目を輝かせ、俺の握る布団を剥ぎ取られる。
「可愛いー!リキッド可愛いぃーッ!」
今は余り変わらぬ体格になってしまったロタローにぎゅうっと抱きしめられた。
「ちょ、ロタ…ッ苦し、苦しいっつの!」
もがいてると、ロタローの隣に寝ていたパプワとチャッピーもこの騒ぎに目が覚めたようで起き上がった。
「おぉ、リキッドが小さいぞ☆」
「ワゥ☆」
さほど驚く様子もなく平然とどこからか取り出した扇子を一人と一匹は開く。
「あのー…何でこうなったのか、ご存知ありません?」
依然抱きしめてくるロタローに抵抗は無駄だと悟り、成すがままになりながら話し掛けた。
「ハッハッハ、それは勿論知ってるぞ!」
その言葉に俺は食いついた。
「だって僕達がリキッドに魔法薬屋特製の若返り飴玉を飲ませたんだもん☆」
声を出そうとした瞬間、ロタローが遮るように口を挟む。
って、それって…
「新手の虐めかコラァアー!!」
俺は腕を上に振り上げ叫んだ。
同時にロタローの身体が離れる。
「何言い掛かり付けてるのさ。今日からリキッド、僕の弟だからね!」
「えっ…家事は?」
弟がどうとかよりも間髪入れずに家事の事を聞く辺り、俺ってば家政夫が板に付き過ぎ。
『あっ…』
見事にハモる。
一つは犬の鳴き声だったけど。
これから俺、どうなるんだろうか…
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