Comply with a riquest
□cherry boy
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ある昼下がり。
ガンマ団本部内にある休憩室のソファにて、目を血走らせて何かを読み耽る重たい影を背負った男。
「な…なんどすかコレは……」
彼が鼻息も荒く手に握るのは、女性の裸が多く載せられて男性とチョメチョメをしている……いわゆるエロ本だった。
この休憩室で読んでいた不埒な誰かが忘れていったのだろう。
たまたまその後に入ってきたアラシヤマが「何やろ」と手に取ったのが始まり。
幸いこの部屋には誰もいなかった。辺りを伺いながら一人マジマジとページをめくっている。
彼にとって初めて見たエロ本はまさにカルチャーショックだった。
男女の営みについてはロッドの下品なジョーク、耳に入る団員の痴情の話などでそれとなく知っていたが、いざ生々しい写真を見てしまうのとはまた違う。
あられもない姿で男に組み伏せられる女。顔に白液を滴らせてカメラ目線で妖しく微笑む女性に知らず下部が熱くなってきた。
それもアラシヤマにとって初めてのことだった。
性交はもちろん、自慰すらしたことのない真っ更なアラシヤマは、この熱の原因が分からず持て余してしまう。
(なんやろ…コレ……なんや体が…)
「こんなところにいたのか」
突然響いた声に驚き、慌てて手に持っている本を背もたれと背中の間に隠した。
背後にある入り口を振り返るとアラシヤマの師匠、ダイナマイトアジアンビューティーこと、マーカーが入ってきた。
「お師匠はんっ、お、お帰りなさい」
正面に回ってテーブルを挟んだ向かいに腰を下ろすマーカー。
ふと弟子に顔を合わすと、いつも病的に白い肌をしているはずの頬に赤みが射していることに気付く。
「どうした、顔が赤いぞ?」
「えっ、そうどすか?」
赤いと指摘された頬を両手で抑え、熱くなっていることに気付いた。
なぜか隠さなければいけない気がして、顔をパタパタと扇ぎながらさり気なく話題を逸らす。
「今回の任はえろぅお早いどしたね」
「あぁ。思ったより早々に決着がついてな」
「そうどしたか」
にこやかに会話をしてこの場を切り抜けようとしたが、無意識に目線が宙を舞っているのにマーカーが気付かないはずがない。
アラシヤマが自分に隠し事をしていることがわかり、じろりと頭から足の先まで舐め回すように眺め、背中からはみ出ているものに目ざとく気付いた。
「…アラシヤマ、背中に何を隠している?」
「へっ!?いえ、なんも隠してまへ…」
「なんだ、この私に言えないことなのか。そうか。よくわかった」
「ひーっ!すんまへんすんまへん!言いますからその火を消しておくれやす〜」
炎片手に立ち上がったマーカーにソファの上で土下座しながら背中の本を差し出した。
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