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□大人の恋愛事情 〜始〜
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よく晴れたいい天気。
誰がカーテンを開けたのか、窓から差し込む陽光に自然と覚醒した。
まだ眠たい目を擦って部屋を見回すと誰もいなく、すでに活動時間であると知る。
この部屋に、というかこの島に時計はない。
俺が付けている腕時計だってワームホールに落ちた時から止まっている。
最初は変な時間に目が覚めたり腹が減ったりと、体内時計が狂ってとても過ごし辛かったが、二週間もすれば慣れるもので。
いわゆる時差呆けみたいなものだ。
何よりもリキッドがここの生活に慣れさせてくれた。
職業柄、太陽の位置で時間や方角を読むことはできる。
窓の外を見上げ、昼を回ったところか、と起き上がった。
テーブルの上にはご丁寧に一人分の昼飯が用意してあった。
出来る部下だな、と一人ごちた瞬間胃がきゅるきゅると収縮を開始したので、早速箸をつけることにした。
食後に一本吸おうと、ベッドの下に落ちているズボンのポケットから箱を取り出したが、妙に軽い。
横に振ってみたがただ空気を切るだけで中身は入ってなかった。
「…あ、切れてたんだ」
頭をポリポリと掻いてどうしたもんかと宙を見上げた。
『タバコがない』
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