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□ガンマ病院へようこそ!〜内科〜
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フワフワと揺れる感覚が気持いい。


消毒液の匂いに混じってオレを包む香りが、心地よい。




背中に固い感触がしてその匂いが遠のいた瞬間、もっとかいでいたくて無意識に手を伸ばしていた。




















「りっちゃん!」


アニキの呼ぶ声に目を開けた。


「…アニキ」

「大丈夫?気持悪くない?どっか痛いところは?!」


泣きそうな顔で眼前に迫られて驚きつつも、大丈夫だと答える。


「よかった〜。もー心配させないでよー。オレまで倒れそうになっちゃうから」

「悪ぃ…」


頬を両手で挟まれてキスしそうな勢いで鼻先をくっつけてくるのは、スキンシップの激しいアニキが本当に心配している証拠だ。


素直に謝って一つ目を閉じた。



「兄弟でイチャつくのも結構だけどよ、いい加減離してくんねぇか、これ」


アニキが離れて目に飛込んできたのは、あの男。


これ、と指差している先はオレの手。


男のシャツの裾を何故だか握っていた。


「っ!す、すんません…」


夢かと思っていたいい匂いはやっぱりこの男だったんだ。





突然ぶっ倒れて裾握りしめて目覚めるなんてかっこ悪すぎる。


妙に恥ずかしくて下を向いてしまった。


「聞けば階段からも落ちたそうじゃないか。ボーヤの方を診てやろうか?」

「だだだダメ!そんな危険な目に合わせられません!」

「失礼な奴だな。もし頭を打っていたりしたらどうするのだ。脳と言うのはだな、発見が遅れれば命に関わるほど重大な…」

「大袈裟なこと言ってんなよ。こいつはただの風邪だ」


男に止められたマーカー先生が、チラリと横目で見てたから盛大な溜め息をついた。


「…院長。また貴方はそんな格好でどちらに行かれてたんですか」

「そういやアンタ誰かと思ってたら何だ、院長先生か………って、院長!?」


アニキの絶妙なボケ突っ込みに声もなく目を見開いた。





院長!?


院長って…病院で一番偉い人だよな。


一番偉い人が…この男?


だって、普通偉い人ってスーツ着てビシッとしていて、そういう雰囲気を出していたりするもんじゃないか。


それが。


よれたシャツに黒の皮パン、頭はくしゃくしゃで尻には競馬新聞と赤ペンが刺さっていて、尚且つ部下であるマーカー先生に説教のようなお小言受けている人が、院長先生だって?!






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