10Title
□熱
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雪国での休暇。
白銀の世界が待ち受けていた。
雪が珍しくて、なんて言える訳がなく、ボーヤをからかうフリしてはしゃいで遊んだ。
たーのしかったなー♪
久々に思いっきり遊んだと思うよ?
ボーヤも雪ん中転がりまくってビショ濡れになってたなぁ。
隊長だってそうだ。それこそ大型犬よろしく駆け回ってた。
歳考えろよって思ったけど、なんだか年甲斐もなく楽しんでいたからほっといた。
Gは一人離れたところで雪だるま作っていて、ボーヤがそれに気付いて「何作ってんすか?」て近寄っていくのを尻目に隊長と雪合戦が始まって、マーカーちゃんが隊長側について参戦して…勝てるわけもなく雪に埋もれて、指差されて笑われて、
それでもすっげぇ楽しくて。
最後にGの作った、ボーヤが大好きなあのキャラクターの雪だるまを飛び蹴り食らわしてぶっ壊したら、ボーヤがピーピー泣きだして、それを見てまた笑った。
あー楽しかった。
なのに。
なんでオレだけこんなんなってるの?
昨日濡れたまま風呂で暖まりもせずに寝たからだよな。
でもなんでオレだけ?
それに一番に気付いてくれたのはリキッドだった。
え、日頃の恨み?
コイツみんなを呼んできて笑い者にしやがった。
この歳で雪遊びして風邪引きました、なんて恥ずかしいから黙っていようと思っていたのに…。
「雪ぐらいで風邪を引くなんて鍛練が足らんぞ」
「……ん」
「テメェ俺らに移したら給料全額カットだからな。覚えとけよ」
「ダメな大人だなぁ」
「うるへぇ…バカは風邪引かないんだろ」
「あぁ?!俺がバカだとでも言いてぇのか?」
「い、いえ…違いますから、この手、離してくださ…」
クソッ。ボーヤが余計な事言うから隊長に怒られたじゃねぇか。
お陰で首絞められて後少しで昇天するとこだったんだぞ。
一通り人のことを詰ってスッキリしたのか、ぞろぞろと出ていった。
あーだるっ。
頭がいてぇな。
薬飲まねぇと。
その前に何か腹に入れないといけないし…
むり。
体がきしんで動かない。
ダメか?
オレ、もう。
体が弱っているせいか気分まで落ち込んできた。
死ぬー死ぬー
こんくらいで死ぬわけないのにそんな考えを頭に巡らせてた時。
Gが部屋に入ってきた。
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