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□ご機嫌ナナメ
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事の発端は、シシマイハウスの連中に連れ去られた事から始まった。











どういうわけか、近藤さんとソージがパプワハウスのみんなと一泊温泉に行っている。



同じ心戦組のはずなのに、俺だけを置いて。




もしかして俺はパプワハウスのみんなに嫌われているのか?

何か嫌われるような事はしてないはずなのに…。




いや、リキッドはそういう事を秘密にするような奴じゃない。



では誰の陰謀か。





少し大袈裟に家で思い悩んでいると、ちゃぶ台の上に本に隠れて一枚の紙を見つけた。


ペラ、とめくってみると…





「…………な…なんじゃこりゃー!」


そこにはソージの字で、「ごゆっくり」と一行書かれていた。





叫びを上げた瞬間、




ガララッ



「やほー!黒髪のお兄さん元気?暇?暇だよね!ウチ来て一緒に飲もうよ!」


ソージかと思って驚いたのだが、入ってきたのはお隣の垂れ目イタリア人だった。


「え?」とか「何?」とか「暇じゃない」とか言ってる最中にもグイグイ引っ張られ、呆気にとられて大した抵抗もしないまま気付いたらシシマイハウスに押し込まれていた。


「じゃじゃーん!和食の達人、侍シェフを連れてきましたー!」


垂れ目に押されて入ったそこは、まだ日も高いというのに酒の臭いと煙草の煙が充満した、まるで外の陽気と真逆の澱んで空気の悪い部屋だった。


「ちょうどいい。味の濃いものには飽きていた。さっぱりとした和食のつまみを作ってくれ」

「…甘めのきんぴらごぼうが食べたい」

「オレは何でもいいよ〜!あ、キッチンはあそこね」


未だ状況が飲み込めずに突っ立っていると、つり目の中国人と無口なドイツ人たちが口々に好き放題つまみを作れと言ってる。

そんな中、昼間っからあまり会いたくない奴と目が合った。


「よぉ。今日はだーれも止める奴がいないからな、無礼講だぜ」


相変わらずボサボサの髪を広げてワイシャツを羽織っただけの獅子舞が、ニィ、と口端を上げて笑っている。

それを見て全てが合致した。


「そ…ソージ!!」


俺の怒声は野郎共の「早く」という催促の声にすぐ掻き消されてしまった。








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