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□この世に絶対は無いと思う
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オレの命は絶対だ。





この島の番人になった時から、オレの命が絶対になった。


絶対に、死なないのだ。










移り変わる四季を数えなくなったのはいつだっただろう。

もう何回、春が過ぎていっただろう。



あの人がいた短い季節。
永遠を願った、あの短い短い季節。



何回、季節は巡っただろうか。

自分がいくつになったのかさえ、数えなくなっていた。

全ての時が止まってしまったあの時から年齢を刻むことはない。

それでも、島の友達が徐々に世代交代をしていて、今こうして会話をしているのは何代目かは、やはり数えきれていない。


そうやって思い知るのは、今更だが自分に終わりがないということ。


絶対に、だ。





後悔をしているわけではない。
番人になるときにそのことは切々と聞かされた。


二度と歳はとらない。

二度とこの島を離れることはできない。

二度と親に会えない。



二度と、愛する人に会えない。











何十年前だったか。
昔の職場の連中が大勢でこの島へ押し掛けてきたことがあった。


小さいくせに態度だけはでかかった、愛らしい友人を拐うとか連れ戻すとか、そんな騒ぎで島全体が賑やかになった。

あの人によく似た、雰囲気と瞳の輝き持った少年。


あの時はまだ、ハウスの住人が一人増えたことと久々にまともな人間と会話できる嬉しさがあって、毎日が楽しかった。
ドタバタ騒ぎも久々と感じるくらい、まだ懐かしいと言える範囲だった。


思い出話は膨らみ、あの頃のようにバカばっかやってみたり、あの頃よりも成長した自分を見てもらったり。

掃除・洗濯は常日頃やらされていたが、料理だけはできなかったオレの腕が上がったことにみんな驚いていたっけ。
褒められて気をよくしたオレは、気付いたらみんなの家政夫になっていた。


相変わらず人使いの荒い連中だな、なんて愚痴を溢していたけど、実は満更でもなかったりして。





何よりも、あの人が目の前にいることが、嬉しかった。

番人交代の際に言い聞かされた言葉で覚悟を決めていたというのに、こうもあっさり会えてしまうじゃないか。


拍子抜けしながら空白の年月を埋めるように逢瀬を重ねた。



深くに沈めていた感情が蘇る。
願ってはいけないはずの思いが溢れてしまう。





禁じられていることを行えば、必ず罰は下されるもので。



惚けた頭の片隅に確かにあったはずの警告は、突然高らかに鳴り響く。

そして、今度こそ永遠に会えないだろう別れを、迎えた。


唐突に。

心構えもなしに。

猶予はほんのわずかな時間。





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