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□Lesson to me
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「お前って本当にバカなんだな。バカヤンキー」




とある書類の計算をみんなでしていて、オレだけ電卓を渡されなかった。
数が足りないんだそうだ。


算数の苦手なオレに、電卓もなしに計算しろとは何とも無謀なこと。


代わりのソロバンだって触ったことないんだから、使えるはずがない。

それなのに寄ってたかってバカバカと言いやがって…。


「オレそんなにバカじゃないっす!」


言い返してみたら、またもみんな揃って小バカにしたように「へぇ」とだけ漏らした。


「オレ計算苦手なだけだもん!」


「じゃあ何ができんだよ」


隊長が面白そうな顔で言ってみろと顎を突き出す。


「日本語以外にしゃべれる!」


これにはみんなが注目した。


「他の国の言葉ねぇ…ハローだったらぶっ飛ばすからな」


「違うっす!えー…と中国語とイタリア語とドイツ語っす!」


「………」


マーカーとロッドとGさんが一瞬固まったのが分かった。


「ふ〜ん。言ってみ?…まずは中国語」


「はい、我愛称…だったかな?」


「…イタリア語」


「ti amo」


「……ドイツ語」


「ich liebe Dichっす!どうっすか?オレだってこんくらい分かるんすよ」


「それは誰に教わったのかな〜…」


「え、そこの3人ですけど」


「ほほぅ…」


獅子舞のような顔をにこやかに歪ませ、3人を見回す。
みな一様に青ざめた顔で隊長から目を逸らした。


「リキッドくん、先に部屋帰ってなさい」


「でもまだ計算途中っすよ?」


「いいから出ろ。それから一時間後、俺の部屋にこい。いいな」


隊長の妙な威圧に押し出されるように部屋を出た。


その際、みんながオレに縋るような目を向けていたのに、気付かないで扉を閉めてしまった。









それは一時間後知ることになる。












END






みなさん必死に求愛してます。
言葉の意味を知らなくとも、自分に言ってほしくて言わせてます。

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