Series 2
□獄 -prisoner-
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「ハーレム、どこへ行くんだい?」
「夕飯…たまには食堂で食べようと思って」
「食堂まで行く必要ないよ。私の部屋に来なさい。一緒に食べよう」
「…………分かった」
【獄】
ガンマ団本部塔内、上層階のワンフロアを丸々俺のプライベートルームとして充てられていた。
前にいた部屋は上層階でももう少し下のフロアだったのだが、突然兄貴のプライベートルームがあるフロアの下に移された。
あの戦闘から兄貴は変わってしまった。
俺を過保護にも見張り続け、兄貴が仕事以外は常に一緒にいることが当たり前になってきた。
しばらく戦闘にも参加させてもらえず、内部の事務的な仕事ばかりをこなす日々。
退屈な毎日。
「…兄貴」
「なんだい?」
「俺…戦場に立ちたいよ」
「必要ない」
「っ、俺は兄貴の隣に」
ダン
「食事中は静かに、て言ってるだろう?」
テーブルを叩く音に驚いて兄貴を見た。
が、怒っているわけでもなくいつものように微笑んだまま。
それが逆に恐い。
「…………ごめん」
「ほら、好き嫌いは駄目じゃないか。大きくなれないよ」
何でもなかったように皿に残した野菜を差して笑った。
「…俺もうガキじゃねぇよ……?」
「子供だよ。私からすればいつまで経っても世話のやける弟だ」
最近感じるのは、過保護であることと同時に妙な子供扱いをされていること。
確かに10歳以上離れているけど、俺だってもう17になるんだ。
それに、今は別の支部で働いている双子の弟にはこれほどの執着は見せない。
俺がまたミスを起こさないためか?
兄貴の手を煩わせないための監視なのか?
対処できない苛立ちだけが募っていく。
この燻ぶりはどう鎮火すればいい。
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