Series 2

□Wonderful world 3
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何度見ても我が目を疑うのは仕方ないと思う。


こんな世界知らなかったのだから。






何帖とか何平方メートルとか見ただけじゃ分からないけど、とりあえず最近まで寝床にしていた四畳半部屋の、およそ5倍以上はあるんじゃないかと思うほど広いリビング。

これまたどデカイ特注だと言う黒の皮張りのソファーが、部屋の真ん中に鎮座している。
175センチあるオレが寝転がってもまだ余裕があるくらいだ。

そして壁際には何インチとかこれもサイズは分からないけど、とにかくバカデカイ液晶テレビがあって、一体この部屋だけでいくらかかったのか、なんて計算してしまうのは最早性である。



寝室は二つ。
無駄に広い部屋に大人3人は寝れるであろう広いベッド。
背の低いチェストが二つと机が壁際に置かれている。。
ゲストルームだと言うこの部屋が、今オレの部屋になっているから、人生何があるかわかったもんじゃない。









あの男、ハーレムに拾われてから一週間経った。



正確には出会って10日目。
この家に来て一週間である。


一週間住んでみてわかったことは、ここは都心であること、ハーレムが金持ちであること、この家には一人で住んでいること、そしてハーレムは滅多に家にいないこと。








時計の針は夜中の1時を指している。


リビングの片面全てがバルコニーになっていて、閉めていたカーテンを開けるとひんやりとした夜の空気が頬を撫でた。


サンダルを突っ掛けて外に出る。

広いバルコニーの先、柵に腕を掛けて下を覗き込むと、マンションの下を走る道路に点々と車が過ぎるのが見える。

目線を上げれば沈みそうな月と見慣れた赤いタワー。
それと眠らない街のネオンが人の鼓動を伝えているようで、深夜だとか夜中だとか、時間を忘れさせる。



25階建ての25階だけあってとにかく見晴らしがいい。

こんなに開放的な気分を味わうのは初めてかもしれない。

誰の目も気にせず月を眺めることができるのだから。



けれど、未だに胸の奥で引っ掛かり続けるのはアイツらのこと。


アイツらがあのまま引き下がるとは思えない。
ハーレムがぼこぼこにした、ということはハーレムも目を付けられている可能性は高い。

ここに来てすぐそれを訪ねてみたが、「俺のことは気にするな」で終わってしまった。


そりゃ、これ以上の面倒事は嫌だし、はっきり言って自分以外のことは知ったことではない。

けど、ハーレムは仮にも恩人で今やオレの飼い主だ。



とは言うものの、実際のところハーレムと顔を合わす機会がないし、どういう訳か、オレはこの家から出てはいけないと言われている。

飯は冷凍食品やカップ麺に乾麺、インスタント食品が何日分か台所に詰まっていて、腹が減ったら一人で食べている。
簡単な物しかないけど、オレにとってはご馳走だった。






そうして寝て食べてを繰り返して一週間。


それだけあれば色々考えるもので。


とりあえず今は起きてハーレムの帰りを待っているのだった。





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