レイの神話
□レイの神話…∞
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あれから、一ヶ月が過ぎた……
その後、レイ・ドランがどうしたのかさえ、亮には知る由もなかった。
サエコという女もピタリと姿を見せなくなった。
……まるで、何もかもが夢の中のような出来事だった。
だが、それが夢ではなく、現実であったことを証明するものが、残っている。
藤井美雪と佐野亮の関係であった。
もう、二人の間に距離なんか、ない。
そのことは、亮にも、美雪自身にもわかりきっていた。
それはレイが証明してくれたのだ。
そのレイ・ドランは、今ではただの夢の中での記憶にしか残されていない。
『総帝と闘う!』
そう言ったレイは、それ以来誰にも姿を見せなかった。
……オレにとって、レイ・ドランとは何だったのか?
亮は、よくそう考えることがあった。
しかし、その答えは……ただの幻としか出て来ない。
いくら考えたって、そういう結論しか出せなかった。
だが、それが正解だとはどうしても思えない。
他に、なにかがあると……
レイ・ドランは、もっと大切な存在だったはずだ。
レイ・ドランは、必ず亮に会わなければならなかったのだ。
……そう、思える。
総帝なるものと闘って、果たしてレイが生きているのかどうかさえ、亮にはわからない。
知る術もない。
だが、亮には予感がしていた。
また、会える……と。
いつか、レイ・ドランに会える……と。
いや、予感ではなく、確信していたのだ。
Bつづく…