短篇小説
□魂のカケラ
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序章…モノローグ
壊れてもいい…
全てを失ってもかまわない…
そう思いながら生きて行くようになったのは、いつからだろうか…?
積み上げられたものは、むしろ壊される為に存在するのだと、感じていた…
いつか、サイゴに壊すために積み上げていくのだと…
その時、初めてその脆さを知る。
どんなに頑張っても、苦労しても、時間をかけたとしても、簡単に壊れてしまうのだと…
幼い頃に、一生懸命に築いた積み木の城や塔……それをそのままとっておく事などできない。最後には崩されて片付けられてしまうのを知りながらも、次の日にはまた造り始めている。
そしてまた、壊されてしまう…
きっと、その頃から気付いていたのだろうか…
失うのではない…
ただ、手に入れる前に戻るだけだ…
割り切る事など容易いものだ…
いつもの事…
当たり前の事…
また、積み上げればいいだけの事…
単純な繰り返しだ。
そんな当たり前の事に特別な感情を込める必要などない…
いちいち気にしてなどいたら、やって行けやしない…
いいんだ…
これでいいんだ……
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