短篇小説

□魂のカケラ
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 ユミが亡くなってから一週間後……
 オレは政人に連れられて墓参りに来ていた。
 ずっと部屋に篭りきりだったオレを心配して、外に呼び出す口実が、彼女の墓参りだった。

「美香ちゃんは?」

「美香は、向こうの親に預けている……」

 彼女の両親は、立て続けに二人の娘を失って、何かにすがりたい思いでいるはずだ。忘れ形見の孫が居れば、少しは気分も紛れるはずだろう…
 腑抜けたオレのもとに居るよりも、美香にとってはその方が一番だろうとも考えたからだ…

「これから、どうするんだ…?」

 政人が案じてくれてはいるものの、いまのオレには先の事など何も考えられずにいた。

「彼女の為にも、美香ちゃんの為にも、早く立ち直って……」

 頭では、それくらいは解っている。そうしたいとも、何かしなくてと、思ってはいる。しかし、気力が伴ってはくれやしない……

「…由美さん、充分幸せだったと思うな……」

 だといいんだがな…

「おまえは知らないだろうが、おまえが出会う前の彼女たちは、滅多に笑顔を見せるような事は無かったんだ……」

「オレと出会う前…… そう、だったのか?」

「あぁ。笑う事なんてほとんど無かった。たまに見せたとしても、周りにつられての愛想笑いみたいなもんで、心からの笑顔ではなかった」

 それは、そうかもしれないな…
 自分の命が永くはもたないかも知れないと言うのに、明るく振る舞ってもいられないだろう…

「でも、おまえと出会ってからの彼女たちは、ホントに明るくなった」

 なぜ……?
 その疑問が、再び浮かんできた…

「最近になって、ようやくその理由が解ってきたような気がする…」

 理由…?

「多分、接し方の違いだったんだろうな…」

 接し方の違い…?

「病院では特に、彼女たちは病人として見られていた。もちろん俺もそうだった。それが、どっかで変な気の使い方になってたんだろうな…
 でも陽介は、飽くまでも彼女を一人の人間として、決して特別扱いなどせずに接していた。彼女には、それが新鮮だったんだろう…」


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