テニプリのお部屋

□ラブソングを君に
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「ねえ、琳那、明日は琳那の誕生日じゃん、

放課後、いつものメンバーで誕生会しようと思うけど・・・」

親友の美咲がカフェオレを飲みながら話しかける。

昼休みのカフェテリアは昼食をとる学生達であふれ返っている。

「あっ、それいいね。長太郎先輩もよんでさ」

純ちゃんが楽しげにオレンジジュースのグラスの氷を

ストローでつつきながらほほ笑む。

私は友達とこうしてすごす昼休みがとても気に入っている。

「それが・・・ダメなんですの。

明日の夜は家でお客様をお招きして

私の誕生パーティーがあるんですの」

口ごもる私に純ちゃんは肩を叩いてウインクをする。

「そんなの、すっぽかしちゃいなよ。」

「そんなこと、出来ませんわ。

誕生会で私の婚約者の方に初めてお会いするんですもの。

年上の方でも私を大切にして下さる方なら構いませんし、

お祖父さまとお父様の選んだ方ですもの

お断りするにしても一度はお会いしないと失礼ですわ」

私の言葉に美咲が小さく溜め息をつく。

「確かに断るにしても一度会うって言う琳那の言い分は

正しいって思うけど、その人に断る理由が無かったら

長太郎先輩のこと、どうするの?

琳那は長太郎先輩のことどう思ってるの?」

そう聞かれて心の隅がなんだか苦しくなった。

長太郎先輩は私が小学生の頃

喘息の発作を起こしては入院していた病院の息子さんで

何度も入院するうち話すようになった。

氷帝学園中等部の入学式の日、

広い学園内で迷子になった私の手を引いて

式場まで案内してくれたのが長太郎先輩との再会。

優しくて暖かくて、長太郎先輩の隣りにいるのは

とても心地よい。自然に笑顔になれる。

きっと彼が突然私の前から消えたら

泣き崩れてしまうだろう。

でも、彼が私の王子様かどうかなんて分からない。

小さい頃から夢見ていた王子様は優しいけれど強くて、

みんなから慕われる頼もしい人。

少し強引でも、この人についていけばきっと大丈夫と

思わせてくれる人。

そう、大好きなお祖父さまのような人。

「長太郎先輩は好きだと思いますけど、

将来を誓いあえる方かは私にはわかりませんわ。

だからこそ、婚約者の方にお会いしてみたいんですの」

私が口許だけでほほ笑むと純ちゃんと美咲は

お手上げと言うように苦笑いをした。
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