テニプリのお部屋
□夜想曲
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地下鉄の駅を出ると虫の音が聞こえた。
「なんや、いつの間に秋になったやろ。
毎日忙しゅうて、気ぃつかへんかったわ」
俺は小さく苦笑いをしながら腕時計を見た。
そろそろ11時になろうとしている。
「はぁ、今日もこないな時間かいな。朋美、待ってるやろな」
俺は携帯を取り出し、メールを打つ。
『今、駅に着いたわ。なんか欲しいもんあるん?』
2〜3分で返事が帰って来る。
『必要なものは特にないけど、甘いもの食べたいかも・・・』
甘いもんなら俺のキスがあるやろって言ったら
あいつどんな顔するんやろかなんて思いながら
歩いているとバス停についた。
終バスまでまだ少し時間がある。
俺はコンビニに入り時間を潰すことにした。
コンビニはバス待ちらしい客で意外に混んでいる。
俺は朋美の好きそうな菓子を探す。
この間二人で出かけた時は、朋美にねだられて
カフェでパンナコッタを食うた。
その前はケーキやった。
そんなら今夜は和菓子もええかもしれへん。
デザートのコーナーをのぞくと
可愛いうさぎと月の絵の書いてあるポップのところに
月見団子が並んどる。
俺は嬉しそうに団子を頬張る朋美の笑顔を思いながら
月見団子に手を伸ばした。