テニプリのお部屋

□★優しさの行方
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「忍足くん!明けましておめでとう!」

「はい、おめでとうさん」

「忍足くん・・・あの、・・・これ・・・お守り」

「わざわざ遠くから来て貰ってすまんな。

気いつけて帰えるんやで」

新しい年になってどこか解放感と華やかさの漂う

学園のカフェで今日も侑士は女の子達に囲まれて

身動きが取れずに苦笑している。


幼馴染みの侑士はとにかく誰にでも優しい。

プレゼントはきちんとお礼を言って貰うし、

告白もちゃんと受け止めてからきちんと言葉を選んで断る。

もちろん、幼馴染みの私から名も知らない他校の子まで

本当に優しいけれど・・・


不安になってしまう


「どうしてそんなに女の子に優しいの?」

小首をかしげ、侑士の瞳をのぞきながらたずねてみる。

「別に普通やって」

いつもの帰り道、隣りを歩いている侑士に

突然そんな質問をしても、笑顔でちゃんと答えてくれる。

「侑士は優しいよ。優し過ぎ・・・」

少し拗ねたように俯いて小さな声で言ったのは

親友の奈々葉が彼と二人だけのXmasをすごしたと

聞いたせいかもしれない。

「もしかして妬いとるん?」

侑士はふわっと微笑んで私の顔を覗きこんでくる。

「ちっ、違うよ!!それに私、侑士の彼女じゃないもん!」

私はなんだか気恥ずかしくてムキになって否定してしまった。

「それは残念やな」

侑士はクスクス笑いながら私の表情を楽しんでいるみたいだ。

「もう!!侑士のばかぁ!!」

侑士はどぎまぎしてしまっている私を楽しそうに見つめている。


ねぇ、お願い。

そんな優しい瞳で私を見ないで。

勘違いしてしまうから・・・

侑士の優しさを愛だと思ってしまいそうだから・・・

侑士にとって私は“特別”になれるの?

行き場を無くした想いはときめきの実感だけを残して

どこへいくんだろうか・・・・
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