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□I LOVE YOU(執筆中)
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桜が舞う並木通りを私とパパは並んで歩いていた。

そう、私、今日から高校生になる。

「ねえ、パパ、覚えてる?

小学校の入学式もこうして桜の中を一緒に歩いたよね。

私、あの時、すごく嬉しかったんだよ。

新しいパパはすごく優しくて、

私の話もちゃんと聞いてくれて…」

あたしはパパの腕にぶら下がるようにしながら

幼い頃を思い出していた。

そう、このパパが来てから、

ママはホントに嬉しそうに笑うようになり、

あたしは無邪気に甘えられる

幸せを知ったのだから・・・


あたしが物心ついた頃、すでに我が家には父は無く、

ママが働きながら私を育ててくれていた。

看護婦をしていたママが夜勤の日は

母方の祖父母の家にお泊まりをした。

保育園の運動会の夜、

「どうして、パパは瑠奈の駆けっこを

見に来てくれないの?」

そう言ってぐずる私に

ママは淋しそうにほほ笑んで言ったの。

「あのひとにとって、

ママも瑠奈もいてはいけない存在なの。

たとえどんなに愛していてもね」

そう言ったママがあまりにもはかなげで淋しそうで

幼いないながらあたしは父親の話は

口に出せななくなった。

だから新しいパパが来て、

普通の家庭の生活ができるようになったのが

すごく嬉しかったのを今もはっきりと覚えている。

それ以来、あたしは本当の父について

ママに尋ねたことはない。

だってパパは本当にあたしやママのこと、

大切に愛してくれたから・・・
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