千歳

□桜花乱舞〜四〜
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「浩二郎さ…っ…」
いつもと違う雰囲気に恐いと感じながらも、激しく求められると胸が高鳴る。
口付けだけでも頭の中が真っ白になり、他の事は何も考えられなくなる。
深く深く口付けを交わしながら、彼は僕の着物の裾をたくし上げて抜き身を握り込む。
口唇が塞がれていて声は出せない。
彼の手によって勢い良く扱かれ、僕は堪らず口唇を離した。

「んはぁっ…!…アッ…」

彼は凄い速さで擦り上げてきて、次第に僕自身が溢れさせた液で湿り気を帯びた音がし始めた。
「ンッ…あァ…こう…じろ…」
僕は躰を仰け反らせ、両足を自分の胸に引き寄せる様に自ら開いた。
と、彼は僕の片足の足首を掴み、一段と大きく開かせると、僕に戸惑う間も与えずに挿入してきた。

「アアッ!…あっ…ンンッ、んっ、んっ」
さらに容赦なく腰を打ち付けてくる。
濡れた音をさせながら次第に速さは増し、彼の呼吸も乱れてゆく。
こんな浩二郎さん知らなかった…でも…
「ウ、あ、あアッ、…こ、じろ、さ…もっ、と…ンッ!」

片足を高く持ち上げられ、強く揺さ振られた。
僕は頭を上げ、繋がっている部分に目をやった。
彼の雄々しい一物が、僕の広げられ震えている蕾に深く突きささり、何度も出たり入ったりした。
「見える…?」
「ン…見え…るゥ…ッ」
僕は、羞恥も快感の要素なのだと知った。

浩二郎さんは激しく僕を突き動かし続けた。
やがて灯りの油も切れ、部屋の中は漆黒の闇に閉ざされた。
繰り返される僕達の規則的な喘声と濡れた音だけが、密やかに響いていた…ただ浩二郎さんは無心で僕を抱いた……痛い程に……



「あいてて…」
昨夜、彼に掴まれた足首が赤く痣になっていた。そっと指先で撫でてみる。
彼は何故あんな求め方をしたんだろう…思い出すだけで顔に血が上ってくる。
嫌じゃなかったし、いやむしろ嬉しかったんだけど…
「浩二郎さん…」
誰もいない部屋でそっと呟いてみる。一抹の不安を掻き消すように…。
と、表で戸を叩く音がした。

「あっ、おばちゃん」
引き戸を開けると隣のおばちゃんが立っていた。
「ああ良かった!居たんだね」
「どうしたの?」
おばちゃんは抱えていた包みを僕に差し出して言った。
「今ね、息子夫婦が来るんだけど…さっき日本橋の薬屋に今月分の代金支払うの忘れちまったんだよ。悪いんだけど代わりに届けてくれないかねぇ」
「いいよ!日本橋なら何度も行ってるし…天気も良いしね」
「有難う、陽炎ちゃん。頼んだよ」
おばちゃんは包みを僕に手渡すと笑顔で引き返して行った。
隣からいい匂いがする…きっとご馳走用意してるんだな。
浩二郎さんとの約束は破ってしまうけど……



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