千歳

□桜花乱舞〜弐〜
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LIVEの最中に突如迷い込んだ世界。
聞けばそこは江戸だと言う。

RickyはJOEにそっくりな同心・上野浩二郎の長屋に身を置く事となった。
いつか帰るその日まで……






桜 花 乱 舞〜弐〜





「てゆーかさ…何で女物ばっかなのさ!」

一夜明けて、彼が本格的にこの町で暮らす為の身の回り品を揃えてくれた…のは有難いんだけど。
「いーじゃねぇかよ、お前小柄なんだし。第一よ、月代(さかやき)もねぇのに男の恰好する方が変なんだって」
「男が女の恰好する方が変だよ!…サカヤキって?」
「頭のココ、皆剃ってるだろう?お前のその妙な色した頭じゃ無理だろ」
「絶対、無理」

僕は渋々ながらも女物の着物に袖を通した。
さらりとした上等な綸子で出来たそれは、桜の枝に薄紅のぼかしが入れられた春らしい振袖だった。

彼は目を細めて僕を見た。
「…武家小姓か若衆歌舞伎みてぇだな」
そう言って後から僕の腰を引き寄せ、耳に軽く口唇を寄せた。
「何それ」
「お武家様の屋敷に囲われて優雅に暮らしてる美少年か、舞台で女の恰好をして艶やかに舞う連中か…最も若衆歌舞伎はこの前禁止令が出ちまったが」
「どうして?」
「…さぁな。あまりにも激し過ぎたのさ」
彼の腕が強く僕を抱き締める。
つまり武家小姓はジャニーズで、若衆歌舞伎はストリップみたいなモンかな……

すると彼の手が振袖の裾を割って侵入してきた。
「ちょっ…まだ昼間だよっ…ッ…!」
彼は後から抱き締めたまま僕の抜き身を扱き始めた。

「初めてお前見た時…俺は夢見てるのかと思ったぜ…」
彼の熱い吐息が耳を刺激する。
「あいつが…陽炎が還って来たのかと…」

「なっ…ッ…んんッ」
「そうやって直ぐに反応帰す所も…」
「あ…は、アッ…」
僕は立っていられなくなって、目の前の柱にしがみ付いた。
後から尚も責め立てる彼は、もう片方の中指を僕の秘口に当てがった。
「ヤ…ダ…んンッ」
彼は僕を扱く手を早め、快感のうちにゆっくりと押し広げてゆく。
「…あッ…いや…ッ…!!」
彼はやりかたを良く心得ていて、僕が異物感に苦しまない様に、指を埋め込む間も絶えず僕の抜き身を扱き続けた。
僕はと言うと、与えられる快楽に流されるまま声を上げ、彼の激しく上下する手の動きに合わせて躰をいやらしくくねらせた。
「あ…ッ、う…」
「…陽炎に逢いたいと…願わない日は1日もなかった…」

彼は僕の中から指を引き抜くと、自分のモノを取り出し、僕の股の間に差し入れた。挿入は未だ無理だと思ったのだろう。
僕は躊躇わず片手で掴んで擦り上げる。彼は僕の腰を掴み、早駆けを始めた。
「ン…はぁッ…イイッ…」
「…俺、も…ッ」
「んぁ…っ…アッ、もう、イク、イッちゃ…!!」
「…陽…炎っ…!」
「あぁっ!…ジョ…JOE!」

僕は彼の掌に、彼は僕の掌に、白濁した飛沫を滴らせた。
僕は柱に抱きついたまま何度も痙攣し、彼は僕の肩で荒く息をついて背中から強く抱き締めた。
と、急に顎を捉えられ性急な口付けをされる。

「ん…カゲロウ、さん…って貴方の恋人…?」
「………」

あまりに彼が哀しそうな目をするから、それ以上は聞けなかった。
「ゴメン…着物汚しちゃった…」
「よし、買いに行くか」
彼は僕から離れ、身仕度を整え始める。
「日本橋に越後屋ってぇ大棚がある。お前に似合うヤツを仕立てて貰おう」
「う…ん、でも俺まだ歩けない…」

やっと彼が大声で笑った。


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