千歳

□桜花乱舞〜七〜
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相田の手により西国・伊予に連れてこられたRicky。
彼と、自分の友を救うべく、神吉は紀伊へと望みを託す。
浩二郎は頭で理解しつつも、自らの腑甲斐なさに歯噛みする思いであった。






桜 花 乱 舞〜七〜





陽の差さない室内──時折微かに呻く様な声と、泣いているような、悲鳴のような…を、控えの間に詰めている宿直の武士は聞いていた。
このような淫行は今に始まった事ではないが…笑い声がするとぞっとした。
自分が仕えて来た主君ではあるが、目に余る乱交の数々は如何なものか…先日の宏三郎も…今、殿の寝所にはべっている、あの子も………


もう…どのくらい時間が経ったのか解らない…僕の両手は紐で頭上に括られていた。
僕は涙を流す事も放棄して…ただ揺さ振られるままになっていた。

「陽炎、…はぁ…あっ…」

彼は何度果てても、決して僕を放さなかった。
仰向けたり、俯せたり、螺旋曲げたりしながら、もう本当に何度も…僕の内部で…
「ウッ、…はぁっ…陽、炎っ!」
僕はきつく目を閉じた…嫌だっ…!
「陽炎…?」
彼は顔を背けた僕の頬に口付けをし、僕の抜き身を握り込んで上下に扱き始めた。次第に湿った音になって響く。
「…んぅ…ッ」
「我慢するな陽炎…果てても良いぞ」
「あっ…ぁ…アアッ…!」
彼は僕自身を口に含み、音を立てて吸い上げ始めた。

浩二郎さんと違う。
この人は…僕の中に陽炎を見ている。陽炎と自分だけの行為だ。でも浩二郎さんは…僕の反応を確かめながら抱いてくれてた…僕は愛されてた…!…僕が果てる事によって、やっと躰が解放された。
僕は打ち拉がれた気持ちのまま、顔を背けて着物を羽織った。
彼は下帯だけ付けると、さっさと部屋を出ていった。
入れ代わりに相田が入って来て僕の背中にこう告げた。
「あれからウチにも小姓組が出来てな。来い、お前もその中に入る事になった」

あれから…て事は相田も僕を陽炎だと信じているのだろうか。取り敢えず相田の言葉に頷きもせず従う。
立ち上がる時に全身に痛みが走った。



奥にある離れ。
中にはまだあどけなさが残る15.6才の少年が数人の他、僕と同い年くらいの人もいた。
相田はその年長組らしき幾人かの一人を呼んだ。
「宏三郎、こいつの面倒頼んだぞ」
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