千歳

□桜花乱舞〜八〜
1ページ/4ページ

伊予の国・吉田吾郎の邸へ連れてこられたRickyは吉田に辱めを受けるも、小姓の宏三郎と打ち解ける。
どんな状況にあろうとも、諦めずに歩き出す事の大切さを、改めて痛感するのだった…






桜 花 乱 舞〜八〜





夜になって、湯殿へ通された僕を待っていたのは吉田…殿だ。
後退りする僕の腕を捉え、着ていた物をはぎとる。湯の中へ引きずり込まれ、抵抗する僕を簡単に押さえ付けた。
今朝の痛みもまだ取れないうちに、無理な態勢をとらされ、彼の熱い掌が全身を這い回る。

「陽炎…大人しくせい…」

檜の浴槽の淵に仰向けに倒され、彼の口唇が僕の口唇を塞ぐ。

「んぅ…」

彼の舌は口唇をこじ開け、歯列の間から巧みに割って入り、執拗なまでに奥へと差し入れられた。角度を変える度に性急さを増す。
そのうち彼の指先は僕の胸を円を描く様になぞり、小さく尖って色づいた胸の先端を捉えて弄び始めた。
抵抗とは裏腹に固くなってゆく突起に、指で刺激を与え続ける。

「あ…ッ…」

お湯の熱さからか頭の芯がぼうっとしてくる。
彼の口唇が離れたと思ったら、僕の胸に音を立てて強く吸い付いた。歯で軽く挟み、舌先でチロチロとつまびく。

「…あぁ…ッ…ぅ…」
「…良いのか?」
「…っ」
「良いのであろう…?」
「…ッ!…はぁ…っ…」

その時ふと視線を感じて顔を背けた。
僕の視線の先には…宏三郎さんが立っていた。
僕は慌てて吉田を押し退け様としたが、彼は躰を反転させると浴槽の淵に腰掛け、後から僕をはがい締めにした。
宏三郎さんも事態が飲み込めないといった風な顔をしていた。

「殿これは…」
「おお宏三郎、そちも私が呼んだ。どうだ、お前陽炎を抱いてみよ」

吉田の言葉に耳を疑った。
今何て?
「早く此処へ来い、宏三郎」
急かす吉田に、宏三郎さんは夜着を脱ぐと恐る恐る湯の中へ足を入れ、僕の前に立った。
僕は丁度二人に挟まれる位置になった。
「…やめ…やめて宏三…」
「宏三郎」

宏三郎さんは目を閉じ、素早く何事かを呟いた。
そして僕の胸に両手を這わせ、静かに口付けをしてきた。
柔らかく甘かった。

……宏三郎さんはこう言ったんだ、ごめんなさい、と…主君の命は絶対だから…僕も目を閉じた。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ