ここに迷い込んだら、プラウザバック

□夜中の学校
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部活が終わって、今は夜の9時過ぎくらい。さすがに、この時間まで残ってる生徒は野球部くらいしかいない。
真っ暗な校舎。電気は、職員室だけ点いている。
練習による充実感を覚えながら、駐輪場へと重い足を進めた。そして、自転車の鍵を開けようとした時、ふとした考えが頭をよぎった。



夜中の学校は、どうなっているのだろう。



そう考えたら、足は勝手に校舎へと動いていた。今までなら、絶対にこんな事考えなかった。それは、俺が変に真面目なのと、こんな時間まで残る機会が無かったからだ。
教師に見つかったら、忘れ物をしたと言うことにしよう。
親には、反抗期らしく答えておけば問い詰められないだろう。----教室の鍵、かかってるかもしれないな。もしかかってたら諦めて帰ることにしよう。


色んな事を考えながら歩いていると、教室が並ぶ廊下まで来ていた。俺の足音は、少し響いて、少し空気に吸い込まれていく。こんなにも、自分の足音が大きく感じた事はなかった。1歩1歩踏み出すのに、勇気が必要だった。そして1組の教室に着くと、俺はドアを開けた(お、鍵開いてるじゃん)



「誰?」



誰もいないはずの教室には、1つの影があった。月が雲に隠
目を合わせないで喋って悪いな、と思いながら俺は彼女に聞いてみた。すると彼女は、うん!と答えた。笑顔だって分かるような明るい声だった。俺の顔、まだ赤いんだろうな、と思いながらも彼女の方を見ると、やっぱり彼女は笑顔だった。




気付けば俺達は、野球の話で盛り上がっていた。高校野球の事、メジャーリーグの事、俺達の練習の事。モモカンがアマナツを片手で握って潰せることを話すと、嘘だー、と言って信じてくれなかった(本当なんだけどな…)


「あ、もうこんな時間か」
「うわ、すっごい喋ったね!」

教室の壁にかけてある時計を見ると、10時になろうとしている。これからまた自転車こいで帰って…親、五月蝿いかも


「そういや、名前聞いてなk「早く帰ったほうがいいんじゃない?お母さんとか心配するよ」


あれ?
今、俺の質問遮らなかったか?



「…じゃ、送「すやまくん!」


また、遮られた。
わざとなのか?
俺の名前を呼んだ彼女は笑っていて、その顔を見ると聞き返す気も失せてしまった。





「私はいつも、この時間に、ここに居るから!」





今日何度も見た笑顔の中で、1番可愛い笑顔だったと思う。
その笑顔が頭から離れなくて、笑顔だけじゃなくて、声とか、仕草とか…彼女の全部が頭から離れない。








「おう」













それから俺は、夜中の学校に依存し始める。


















(そしていつも、彼女は名前を教えてくれない)



***
「青春と、ラスト・イニング!」に提出
 

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