置場
□阿部と登校してみる
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「おっす、阿部」
「……おー」
今日はたまたま朝練が無くて、いつもより遅く家を出たらアイツに出くわしてしまった。
「なんだ、今の間は。俺に会えて嬉しいだろ」
「俺がいつお前に会えて嬉しいって言った。会いたいとも言ってないぞ」
「もっと素直になるべきだぞ?」
「俺は十分素直だ。お前以外にはな」
コイツは幼なじみで、小学校からずっと同じクラスで…まぁ、所謂腐れ縁。
昔から俺の後をついて来るコイツとは最近部活のせいで、すれ違いになるばかりだった。
会いたくない…と言ったら嘘になるが、特別会いたかったわけでもない。
「……それは、俺限定か?」
「あ?」
「俺以外には素直なのか?」
「…だったら何だよ」
「ふーん…」
ニヤニヤとキモい顔を見せたと思うと、アイツは俺のチャリの後ろに乗ってきた。
「おい!勝手に乗るな!」
「まぁまぁ、いいじゃねえか。俺達の仲なんだから」
「どんな仲だよ!」
このまま止まっていれば遅刻するわけで…。
俺は仕方なく走り出した。
「俺に素直になれないのは照れてるからだろー?」
「はあ!?」
「あ、ほら。前見ないと危ないぞ。隆也」
「っ…くそっ……」
それから、そのことを意識してしまい、本当にアイツの言う通りになってしまったのは、信じがたい事実なのである。
◇◆◇
30分で作ったという阿部。
拍手してくれた人達に失礼だったな…ごめんなさい。