ここに迷い込んだら、プラウザバック

□青空に手をかざし
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「そんな勝手が許されると思ってるの?」




綺麗な青だった。
青と水色の間で、少し淡くてグラデーションになっていて。
点々とある白くて、一言で言えば、快晴。
そんな空の下で私は寝転んで、昔のことを思い出していた。
とっくの昔に捨てたと思っていた過去を…――。




授業をサボる程勇気が無かった私は、予鈴10分前から屋上へ行って寝転んでいた。本鈴ギリギリに行くことで自分なりに反抗してみせてた。
この日も私はいつも通りに屋上へと向かう。
屋上から出ていく人とすれ違いながら、階段を上がる独特の足音を聞いた。
そしてドアを開けて、いつも座っている場所へ行くと、そこには金髪のでっかいヤツが寝転がっていた。
ソイツを邪魔くさいと、私が蹴飛ばしたのが、私達の出会い。


それからソイツは毎日同じ時間に、同じ場所に現れた。
最初は確かに邪魔くさかったけど居心地いいことに気付いた。
気付いたらそういう関係になっていて、この時間にこの場所にいることが暗黙のルールになっていた。



いつからだっただろう。良郎…浜田が屋上に来なくなったのは。
自然消滅って感じに私達は終わった。
私は怒りも悲しみもせず、変わらず屋上へと通っていた。






そして今、浜田は私とよりを戻したいと言ってる。
私は冒頭の言葉を浜田にぶつけた。
浜田は何も言い返さない。言い返せない。

今、予鈴10分前。
いつも通りに私は太陽の熱であつくなったアスファルトに寝転んで、空に手をかざした。
空は初めて会ったときのように綺麗な青をしていた。
「…何してんの?」
「未来を掴むの」
結局、毎日通い続けた私は、良郎に未練があったんだと思う。


「私達はやり直すんじゃないの。新しく始めるの」



だから、私達を見ていた青空さん。
同じことを繰り返す私達を見ないで。



「……そっか」



これから私達を見守ろうとしている青空さん。
貴方を掴んでいいですか?



良郎は私の隣に寝転がって、私と同じように手をかざした。


そして、2人で未来を掴んだ。





2008.07.04
「そして時間は動き出す」に提出

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