置場

□普段のノリで話すな
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「七夕です」


心地よい眠りから覚めた俺が最初に見たものは、仁王立ちしている俺の彼女だった。
見ためは、普通。
性格、変わり者。
頭、良すぎ。
運動、オンチ。
いったいどこを好きになったのかは、実のトコロ分からない。
まあコイツはそんなこと聞いてこないし、求めてもこない。
好きならそれでいいよ、と言ってくれた。

そんな彼女が、手に緑の何かを持ってニコニコとしている。


「……七夕、ですね」
「七夕しましょう!」


最高の笑みのまま、俺の前の席に座って俺に向き合う。
よく見ると、緑のものは笹だった。

「校長先生がくれたの。短冊に願い事書いて吊そうか」
「……短冊なんかねぇよ」
「ん?あー、そっか。そんじゃあねー…」
そう言って彼女はポケットの中やら俺の机の中をあさる。
でも都合のいい紙が無かったらしく、落ち込んでいた。
諦めるかと思いきや、ポケットからアレを取出した。

「紙無いからティッシュに書こう!」
「そこまでしてやりたいか」


何を言ってもひかないのは知っている俺が諦めて、ティッシュを短冊代わりにすることにした。
全国どこを探しても、こんなことをする高校生はここにしかいない気がする。



「うあー…失敗したぁ!」

マジックのインクが、滲んで書けない。
そんなことに苦戦している彼女は俺に失敗したと思われるティッシュを投げてきた。

「お前、自分で捨てろよ」
「尚治にあげる!ティッシュなんだから、鼻かむなり何なり好きにしてよ!」

突き返したところで、また返されるのは目に見えている。
俺は仕方なく受け取って、ごみ箱へ捨てようと立ち上がった。

どうせならアイツが何を書いたのか見てみっか。

ごみ箱の前に立ち、丸められたティッシュを開いた。


"尚治が私の……"




顔が赤くなった。
真顔で何を書いてるんだアイツは。
あんな風にしていたら、こんなこと書いてるだなんて思わないじゃないか。



「尚治ー!これ吊していいのー!?」
アイツのでかい声でハッと我に返る。
そして、自分が何書いたかを思い出した。


「それは待て!見るな!栄口も見ようとするなー!」



お互い、真顔でとんでもないことを書いてたらしい。




2008.07.08
title by DOGOD69
◇◆◇
七夕に間に合いませんでした。
お互い何を書いていたのかは、想像にお任せします^^←

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