置場
□ああ、飛び出すのは何色をした想いだろうか
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別に、行事ごとに必死になるつもりはなかった。
ただそれなりにやって、感動もそれなりにして、終わるつもりだった。
でも一生懸命になりすぎたボクに、高瀬先輩が頑張んなくていい、と言ってくれた。
皆は、頑張れとしか言わなかったけど、高瀬先輩だけは違った。
その言葉で、ボクは何か吹っ切れた。
ひゅー……
ドーンッ!
「どうだ?花火」
学祭最終日の夜、盛大に花火が上げられた。
そこまで豪勢なものじゃないけど、頑張った生徒たちを盛り上げるに充分すぎるものだった。
「綺麗…ですね」
「同じのばっかだけどな」
「でも、ボクはこれくらいがちょうどいいです」
高瀬先輩は、ボクが座ってるトコの隣にさりげなく座った。何か、あの時を思い出した。
「この花火見てると…いっぱい辛いことあったのがどうでもよくなってきました」
空に花が咲く。
生徒が、わっと盛り上がる。
「凄いですね……高校って」
「一生に一度だからな」
ドーンッ!!
楽しかった、と言えるような学祭になったのかもしれない。
ボクは、この花火を見てようやくそう思えた。
花火を見たからだなんて単純だけど、それでいい。
「楽しかったです」
「……そっか」
そう言って、高瀬先輩はボクの頭を撫でた。
何でこの人はいつも頭を撫でるのか気になるけど、気持ちいいからいいや。
「 」
花火の音と同時に、高瀬先輩が言った。
ボクはそれに、黙って頷いた。
2008.07.13
title by プラスマイナス=ゼロ
◇◆◇
ウチの学祭では、花火が一日目にありました。
そこでこのような気持ちを感じたので書きました。