ここに迷い込んだら、プラウザバック
□駅のホームから見えた夕日
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ガタンゴトン
私たちは、これからどこへ行くの?
目の前に座っている良郎に聞いてみても、はっきりとした答えは返ってこない。
私たち以外、誰も座ってない汽車。走る独特の音と、互いの息遣いだけが耳に残る。
別に、どこへ行こうとも構わない。
でも、私を不安にはさせないで。
――…このまま、どこにも停まらずに走り続ければいいのに。
『次は……お降りになる方は…』
そんな私を裏切るように、少しかすれたアナウンスが聞こえた。
「降りよう」
「え?」
良郎は王子様のように私の手をとろうと手を差し出す。
少しためらったけど、私はその手をとった。
「うわ、もうこんな時間なんだ」
手をつないだまま、汽車を降りてホームを抜けると真っ赤な夕日が前にあった。
もう沈もうとしているそれは綺麗だった。
「これから、どうしよっか」
「……考えてなかったの?」
「一緒にいられればよかったから」
その言葉に、私も、と返事をした。
「大好き」
良郎と、この夕日を見られただけで満足。
「まだ、先に行こう?」
貴方と一緒にいれば、この夕日みたいに綺麗で凄いものがたくさん見れると思うから。
「………行くか」
2008.07.22
title by garbera