置場

□さよなら、夏休み!
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「夏休みなんていらない」


夏休み最終日、彼女の第一声はそれだった。
この夏休み、部活部活と野球漬けだった俺。コイツのことを全然構ってやれなかった。
でもだからって、これは無いだろ。


「せっかくの夏休みだったのに尚治と何もやってない!」

この様子だと、何か夏らしいことをしなきゃ機嫌を直してくれなさそうだ。
でもそんなに時間のかかるものは出来ない。一応宿題を片付けるのが目的なのだから。


「……花火すっか?」


そして夏らしくて1番手っ取り早いのが、花火。
俺がそう言うと、アイツはパァッと顔を明るくさせた。
じゃ、暗くなるまで待つか、と大量にある宿題に目を向けた。



「尚治ー!何て書いたか当ててみて!」

無邪気に遊ぶアイツは、両手に手持ち花火を持ってぐるぐると円を描く。何て書いたかは読めなかったけど。
なんとか宿題も終えることが出来たし、アイツの機嫌も直ったみたいだ。これで夏休みを終わらせられる。
派手な花火を全部使ってしまったので、線香花火をして終わることにした。
もちろん、どっちが長くもたせられるか勝負。


「…やっぱり夏休みなんていらない!」

「はあ!?」


「こうするのも楽しいけど、毎日尚治の顔見たい!!」


そんな爆弾発言に動揺して、俺の線香花火は終わってしまった。
私の勝ち、と嬉しそうにしたコイツが愛しく思えた。









(練習見に来いって誘っとけばよかった)


2008.08.30
「サマーガール!」に提出

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