ここに迷い込んだら、プラウザバック

□告白にルールなんてないんだから
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彼女は寝ている。うん、誰からの目から見ても寝ている。
それが今に始まったことじゃないのはクラス中の皆が知っている。
だってほら、現に誰も起こそうとしない。
彼女と同じ中学から来たらしい巣山は慣れたようで、教室の風景として捕らえているらしい。それはそれで酷いと思う。


「今日は栄口の番か」
「絶対起きないって……」


小さくそう呟いて、俺は彼女の前に立つ。
クラスの誰かが毎日彼女を起こす。最初は彼女の友達が起こしていたんだけど、その友達もお手上げ。それを聞いて皆面白がって彼女を起こすことにした。
しかしながら今のところ32戦32敗。毎日一人ずつ挑戦するのだが、誰一人として彼女を起こした人はいない。チャイムが鳴ってしまい、彼女は起きるのだ。(チャイムの音が目覚まし代わりらしい)




チャイムが鳴るまで、あと3分。
俺は彼女の体を揺する。案の定起きる気配は無い。
クラス中の視線が俺に向いている。俺なんかに期待しないで欲しいなぁ…。

「栄口も駄目かぁ」

誰かがそう言った。
ちょっと悔しくなってきた。
俺は彼女を見つめて、彼女の耳元に顔を近づけて周りに聞こえないくらいの声で彼女に言った



「はあ!?」



彼女は大きい声を上げて飛び起きる。周りからは歓声。

「…へ?」
「栄口すげー!」

この状況を分かってないのは彼女だけ。頭の上にハテナマークが浮かび上がっている。

「何言ったんだよ」
「秘密」


彼女の友達も友達。彼女に状況を教えようとしない。
もちろん俺も教えない。

「さ…栄口!…えっと……」
「あとでね」

俺がそう言って微笑むと顔を真っ赤にさせる彼女。
勘の良いヤツには、何て言ったかバレたかな。



「起きないとここで告白するよ?」








Ι








2008.08.18
title by 確かに恋だった





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