置場

□届け!白い鳥!
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多分、誰だって1回は作ったことがある。
男子なら尚更。改造…改良までしたんじゃないだろうか。
私も例に漏れず、より遠くに飛ばせるように改造を重ねた記憶がある。

先を綺麗に折って尖らせてみたり、両翼のバランスを考えてみたり…。
そして自分だけの、世界でひとつだけのそれが完成して名前を付けてみたりする。絵を描いたり色を塗ったりもしてみる。

同じものはできない。
全部が全部、違うものができる。


それは紙ヒコーキ。



いつだったか、私は想いを書いた紙を紙ヒコーキに折って飛ばした。
彼に届くことは無いと知って、屋上から飛ばしてみた。

白い、何も色を塗らなかった紙ヒコーキは遠くに飛んでいき、白い鳥のように見えた。



白い鳥さん、私の想いを彼に伝えてください。



似合わないことまで考えたあの日は…先週だったかな。
もうあの気持ちは紙ヒコーキにのせて飛ばした。



「…いたっ」




先週の来週は彼の誕生日だった。
もちろん私はプレゼントなんか持ってこない。おめでとうも言わない。


教室でぼーっとしてると、頭に何かが当たった。
痛い、とは言ったが全然痛くない。

私の後頭部に当たって床に落ちたものを見ると、先週に私が飛ばしたものとよく似たものだった。
でも私が飛ばしたものではない。



また違う、白い鳥。



「わりーっ!」


彼が笑いながらこっちへ来る。
そして紙ヒコーキを拾って、私に渡した。

「……何?」

「お返し!」


開けてみて!と無邪気に言う彼の言う通りに紙ヒコーキを開いていく。嗚呼、よく飛びそうだったのに。

"俺も!"





「……何が?」

「ちょっと前にさ、紙ヒコーキに俺のことが好きって書いたろ?そのお返し!」

「ひ、拾ったの?」

「俺じゃないけどなー」




完全思考停止。
どうして拾ったの?
そう思ったのだけれど、拾ってもらって嬉しい気持ちを私は否定できなかった。


たじまー、と誰かが彼を呼ぶ。
それに彼は手を振って私を見る。

「じゃ、俺行くな!」

「あ、ちょっと…」

「ん?」




先週飛ばした私の気持ちは彼に届いた。
そして彼から私にへと気持ちが飛ばされた。
それを素直に私は受け取っていいのか悩んで、手を伸ばした。



「誕生日おめでとう!」




サンキュー、と無邪気に笑った彼はまた紙ヒコーキを飛ばし始めた。




ありがとう、白い鳥さん。



2008.10.16

◇◆◇
田島ハピバ!
恐らく紙ヒコーキは水谷なんかが拾ったんだと思います。
紙ヒコーキ昔大量生産したなぁ…←

1ヶ月間フリーだったりします。


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