ここに迷い込んだら、プラウザバック
□きみ不足が深刻でした
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プルルル…
俺にしか聞こえないはずの音が教室中に聞こえてる気がした。
それくらいに俺は緊張していた。た、たかが電話だ!緊張する意味が無い!
『も、もしもし?』
アイツが電話に出た。
久しぶりに聞いた声は、少し覇気が無かった。
「おー、俺」
『…孝介……?』
「おう」
電話が繋がったと分かると、教室中が一段と静かになった。
そんなに静かになるなって!アイツの声まで聞こえんだろ!!
『今…は昼休み?』
「昼休みだよ」
『そっか…ど、どうしたの?電話なんて…』
「……」
電話の理由を聞かれることくらい予想はしてた。でもいざそれを答えるとなると照れ臭いもので…俺は黙ってしまった。
『心配、してくれたの…?』
「…おお」
答え辛いのが分かったのか、アイツは聞いてくれた。
少し答えやすくなって、俺は素直に答えた。
すると電話の向こうでクスクスと笑い声が聞こえた。
『な、何笑ってんだよ』
「何でもない」
ふと三橋と目が合ってから気づいた。皆ニヤついた目で俺を見てる。
名残惜しいけど早く終わらせたい。
『ねぇ、孝介』
「あ?」
なのにアイツは電話を続けようとする。いや、嬉しいんだけど恥ずかしい複雑な気分だ。
『何で、心配してくれたの?』
「…分かんだろ」
『分かんないから聞いてるんだよ』
あ
いつものアイツだ。
俺がそういうの慣れてなくて、顔を赤くさせるのが面白いらしくからかうアイツ。
もしかして今、皆がいる教室で電話してるってこと知ってんのか?
いや、それはなさそうだ。アイツ嘘つけないし。
と、いうことは……。
言わなきゃこの電話は終われないのか。
変なトコで頑固だからな、アイツ。
「…好きだからに決まってんだろ」
ああもう。こんなヤツに惚れた俺が悪いんだろ!?
ほら、ちゃんと言ってやったぞ?
もう終わらせていいだろ。
「…明日は来んだろ?」
『絶対行く!』
いつもの覇気のある声を確認すると俺はホッとした。
この電話の続きは、明日だな。
「そんだけ元気あんなら大丈夫だな。じゃ」
『電話ありがと。明日ね』
「おう」
電話が終わって田島が俺をからかいに来たけど、スルーしておいた。
今はそんなことよりも明日のことを考える方が優先。