置場
□恋の敗者復活戦
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「帰れ」
嫌だ。
一言に一言を返した。
すると私の前にいる阿部はあからさまに嫌そうな顔をする。
「部活終わるの待つくらいいいじゃん」
「待つ必要がねぇだろ」
「タカヤと一緒に帰りたいという私の乙女心を無視するの?」
「それは一種のストーカーだ」
あ、言っておきますが私たち付き合ってないです。
中学生の頃から私が必死にアタックしているのですが、ことごとくタカヤはスルーします。スルーって寂しいんですよ?
「ご近所さんの特権使わせてよ!」
野球部の人たちは日常茶飯事なのか私たちを無視して準備を始めている。
でもそんなのは気にしない。今日もギリギリまで粘ってやる。
いつものように睨み合いが始まる。
タカヤは、帰れ。
私は、待ってる。
そんな視線がぶつかり合う。
「…今日は帰れ」
先に口を開いたのはタカヤだった。
ため息まじりに言うその言葉に私はまた言い返す。
するとタカヤはまた深いため息をついた。
そんなにため息つかれるとこっちも落ち込むんですけど…。
「意味、分かってるか?」
「意味?」
"今日は"帰れ。
「…あ、明日も待ってるから!」
「お前やっぱり分かってねぇよ、帰れ」
「何で今日は駄目なの?」
帰りが暗くなるから。
半分怒鳴りながらタカヤは答えた。
そういえば明日はミーティングだけの日だったっけ。
「…タカヤが家まで送ってくれれば良いことでしょ」
「疲れる」
結局私はグランドを追い出されてしまった。
でも明日がある!
明日こそは!
恋の敗者復活戦
翌日、タカヤに先に帰られた。
嘘つき!
…一緒に帰るとは言ってねぇよ。
2008.10.15
title by 確かに恋だった