キリリク部屋

□お前に向けて
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不二は何を考えているんだ?好きなのは真田ではなく幸村だろう?

そして試合が始まった。

「はぁはぁ…やっぱり強いね幸村君は。」

「無駄口言ってる暇があったらボール追いかけたら。」

幸村は容赦なくポイントを取っていった。

「くっ!!」

「ゲームセット!!」

「フフ、俺に本気で勝てると思っていたのかい?」

「………。」

「約束通り俺のお願い聞いてくれるかい?」

「その前に言っておきたい事があるんだけど。」

幸村君がどんなお願いをしようと僕に不利になる事はないけど伝えたい事は伝えておかないと。

「何だい?」

「僕、幸村君の事が好きなんだよね。付き合ってくれない。」

「そうか。じゃあ答えとお願い一気に言うから。」

「うん。」

「答えはノーでお願いは俺の前から消えて。」

「え?」

「聞こえなかった?」

「聞こえたけど…。」

「じゃあそうして。」

「な…んで…」

不二はショックのあまり口がまめらなかった。

「理由が聞きたいの?真田を困らせて悲しませた代償だよ。勿論、今さっきの試合の事も忘れてないから。」

「真田がそんなに大事?」

 
「愚問だね。大事過ぎて片時も目が離せないよ。」

幸村は真田を自分の元に引き寄せた。

「幸村///」

「さぁ、理由は言ったしさっさと消えてよ。」

「………。」

「真田に手を出すからじゃよ。」

「大方、真田君を手に入れて腹いせに苛め抜くつもりだったんでしょうね。」

「それも幸村は気がついてたんだろぃ。試合の時の気迫ハンパなかったからな。」

不二は肩を落とし部室に戻った。

「さて、消えてくれた所で手塚。」

「何だ?」

「今日は試合台無しにしてすまなかったね。」

「いや、あれで不二も懲りるだろう。」

「フフ。じゃ俺達はこれで失礼するよ。」

「あぁ。今度改めて試合をしよう。」

「そうだね。」

こうして幸村達は立海に戻ってきた。

「真田…」

「どうした?」

「痛くない?」

幸村はボールでぶつけられた頬を撫でた。

「どうと言うことはない。」

「此処も此処も此処も俺のものなのに…俺だけが触れていい場所なのに…困った顔や悲しい顔だって俺だけが見れるのに…全部俺だけの特権なのに…。」

 
「幸村…。全部お前のものだ。お前がいるから俺の今はある。困った顔や悲しい顔ができるのはお前がいるから。なるべくなら楽しい顔や微笑んでいる顔を見せていたいんだがな。」

真田は苦笑した。

「俺はどんな真田でも好きだよ。」

幸村は嬉しそうに真田を抱き締めた。

「ありがとう…。」



全てはお前がいるから出来る事。
俺の何もかもはお前に向けられたもの。
俺が誰に微笑んでいようとそれはお前がいるから。
結局は幸村のものなのだとどうやったら伝わるのか…まだ伝える術を俺は知らない。

だから俺は心からの微笑みをお前に向け伝えよう…お前が好きなのだと。





END
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